最低な同居人【JK】

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「この時期はもうほとんどの物件が埋まっててねぇー」





「高い物件しか残ってないんだよねぇ。ワンルームで…ほら、この家賃」






シワシワの指でさした家賃は、ワンルームのくせに目玉が飛び出る価格だった。






『待ってください、困ります!私、来週から仕事始まるし…引越し業者だってもう着いてるんですよ?!』





「俺なんてもう荷物運んでるし」






『急いで他の物件探して貰わないと…』






慌てる私をよそに、顔を見合わせた老夫婦が、「もういっそのことお二人で住んでみてはー?」なんて言うもんだから、怒りを通り越して呆れてしまった。






『いや、赤の他人ですし…そもそも男女なんですけど…』






「美男美女だし、お似合いですよぉー」





「うんうん、二人で住めば丸っと解決するじゃあないか。家賃も、引越し業者が来てるのも。入社式にも間に合うし」





『間に合うように引っ越して来たんだから当たり前じゃないですか。会ったばかりのよく分からない他人と同居なんてできませんよッ。ね、チョンさん!』







なんで悪びれもしないんだこの夫婦は、なんて思いながらチョンさんを見ると、チョンさんはなぜか真ん丸な目で私をじぃっと見つめていた。





『え、なんですか。チョンさんも何か言ってくださいよ』







「いや、なんかもう面倒だし、それでいいんじゃない?」







『は?』







それって、どれ?




もしかして…








『まさかルームシェアするってことですか?』







こっくりと頷いたチョンさん。




いや。



いやいやいやいや。







『それ本気で言ってます?』






「部屋が見つかるまでそうするしかなくない?今から宿なしで家探せる?荷物は?それまでホテル暮らしする金あるの?こんなボロい不動産屋がホテル代出してくれる訳ないし、自腹だよ?」





『う…確かに…』





ほほほ、と笑った老夫婦。



笑い事じゃないんですけど!と見やれば、急にしょぼんとした様子で、




「解約となると…今月は赤字になるね、ばぁさん」



「大丈夫ですよ、おかずを一品減らせばなんとか生きていけますよ」






なんて、良心をチクチクと攻撃しはじめる。






ずるい…こんなのずるすぎるよ!

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