Prince【すとぷり】

夏花火 #3 ページ38

ーさとみsideー



さ「好きだ」




みんなが買い出しやら出かけている隙に、

適当な理由をつけて
Aを俺の部屋に呼び出した





ジェル、ころん、莉犬、

みんなが着々と気持ちを伝えていて

焦った部分もあったんだと思う




『…ありがとう』



Aは困った顔をして笑った




さ「…気づいてたろ？」

『ほんのちょっとだけ、ね』




そうだよな、モテるもんな

それでも恋愛はわからないって言うんだから

こいつは掴めねぇ




さ「本当はもっと早く伝えたかった」

『うん』

さ「ダンス頑張ってるところとか、変なところとか」

『変なところ？笑』

さ「自分を持っててブレてないところとか」

『うん』

さ「誰よりもお前のこと好きだ」

『…うん』





ありきたりな告白にAは相槌を打つだけだった



さ「まだ怖いか？」

『？』

さ「男」

『あー…』



少し考え込んで答えた



『今はみんなが一緒にいてくれるから怖くないよ』

さ「それは友達だからだろ？」



痛いところ突かれた、って顔してる





さ「この前ころんにキスされたって聞いたけどそれでもまだ怖くないって、いえんの？」

『…』

さ「もしそうなら俺だって手加減しないけど」

『嫌だとは思わなかったし怖くもなかった、ただ困惑したよ』




困惑ねぇ…




さ「そりゃあいつの思うツボだな」

『へ？』

さ「好きなやつの頭ん中を自分でいっぱいにしたい時、お前ならどうするよ」

『いつも一緒にいる…とか？』

さ「そんなんじゃ友達と一緒だろ」

『え、あ、そうかぁ…』



さ「俺ならこうする」




そう言って手首を掴んでベッドに押し倒し
馬乗りになった




しばらく顔を見つめる

Aの顔はみるみる赤くなり
掴んでいる手首からAの心臓の音が伝わる




さ「…これでもまだ怖くない？」

『あ…えっと…』



顔をそらそうとするA



さ「怖くねぇなら続けるけど」

『つ、続ける？！』

さ「お前だってわかんだろ、この体制から何するか」




本当はこんな強引なことしたくない

だけど、もう引けない


こいつの反応いっこいっこにそそられる



…けどこいつを大切にしたい



そんな理性と欲望の間を彷徨って

結局俺はAの首元に顔を埋める





『さ、さとみくん？』


さ「わりぃ、暴走した」




何焦ってんだ、俺

だせえ…




バンッ(扉の音)




な「さとみくん？」

る「( ^^ )」

扉の前には笑顔のるぅととなーくん


さ「すいやせん…」



続く

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