【Fischer's】マフィア。２ (ページ10)

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マサイside

シルクが撃たれた日から、約一ヶ月が経った日。
俺はシルクの病室に向かっていた。

あの日から一ヶ月程経ったと言うのに、まだ目が覚めないのか。
動画のコメント欄では、シルクのことで大騒ぎ。

『シルク今日も出てない』
『シルクは？』
『シルクもしかして辞めたの？』

それに、皆も精神的にまいってきているような気がする。
動画の投稿も減ってしまったし、マフィアの活動も中断。

俺は小さく「はぁ」とため息をつくと、病室に入った。

シルクは相変わらず眠っていた。
ピッピッという機械音ももう聞き慣れた。

「ったく、いつになったら目ぇ覚めんだよ、お前。
ホント世話の焼ける奴だわー」

俺は窓の外を眺めながら少し大きな声で言う。
だけど、帰ってくる言葉は…

「世話の焼ける奴で悪かったな。マサイ。」

(え？)

背後から聞こえてくる声に、振り返るとそこには、

「シルク！！」

小さく笑みを浮かべるシルクが居た。
こみ上げてくる涙を隠すように俺は言う。

「医者呼ばねーと！！！」

俺は担当医を呼び、シルクを診てもらった。

「お目覚めになられましたか、シルクさん。
早速ですが、お話をさせていただきますね。」

担当医はシルクにいろいろなことを説明し、俺はメンバーやシルクの両親を呼んだ。

「シルク～…やっと目が覚めたんだね…！！」

「ったく、目ぇ覚めんのおせぇんだよ。
…心配したんだからな。」

「良かったぁ～…！！まったく、心配させんなよ！」

などと皆は口々に言った。
シルクの顔にも笑みが浮かんでいた。

俺は安心し、小さく息をつく。

「そういえば…動画は？」

シルクは俺に尋ねてきた。
俺は「一応投稿はしてるけど、前よりは投稿できる日が減ってる。」と少し俯く。

「そ…。」

俺の言葉を聞き、目を伏せるシルク。
沈黙が数秒流れ、雰囲気が暗くなってしまった。
すると、ンダホが明るく口を開いた。

「大丈夫だよ！！またいっぱい動画を出せばいいんだから！！」

ンダホの言葉に皆は頷き、口々に言葉を発した。

俺はそんなメンバーと、シルクの姿を写真に収めた。