【Fischer's】マフィア。２ (ページ9)

今日:11 hit、昨日:2 hit、合計:21,132 hit

５０ページ9

(緑…何言ってるの？私、何か忘れてるの？)

そんな疑問が頭を過ぎったが、緑がパソコンを自身の鞄にしまいはじめた。
この時、聞けばよかったのだが、何故か、何も口にすることができなかった。

「班長！あの、良ければ私もついて行っても良いでしょうか？」

緑が鞄を両手に持ちながら私の目をじっと見つめて言う。
私はパソコンから緑に目を向けて、答える。

「それは、私の実家にっていうこと？」

「えーと…まぁ、実家ではないですけど、班長の故郷です。
実は私の実家も班長の故郷にあるんです。なので私も一度戻ろうかなと思い…」

緑は小さく笑みをこぼす。
別に、嫌なわけでも無かったため、私はついてくることを許可した。

「ありがとうございます！！では連絡、お願いしますね。
では、私もこのあと用があるので、失礼します。」

緑は一礼すると、部屋を去った。

(木立緑。彼女は私の何を知ってるの？)

緑は一番最後に一班に入った人間だ。
だから、班員も長年の関係性はないだろう。
それに、私も緑との関係は特にない…だろうし。

私は少し考え事をした後、パソコンで仕事をこなした。
何ヶ月か部屋を訪れないだろうから、部屋の片付けをした。

そのとき、床に何かが落ちているのを見つけた。
それは写真だった。

(誰の？)

その写真は人が９人並んでいたが、カメラの不具合が原因だろう、
顔がすべて写っておらず、目の部分で途切れている。

落ちていた場所は緑が座っていたところだったため、
今度会うときに聞いてみようと思い、鞄にしまった。

片づけを終わらせ、寂しいが、一班の部屋を後にした。

さっき拾った写真の意味を知らずに。