私を守る人たちを知らない私は一応ヒーロー希望【ヒロアカ × 鬼滅の刃】

卌弐【】 ページ43

突然、目を覆われた。
優しい手だ。







禰豆子「今は関係ない事だよ。

疲れたでしょ？

今はゆっくりと休んで」







禰豆子さんの手だった。
車椅子を押すのを止めて、禰豆子さんは目を覆う。
私の疑問に蓋をするように。








でも、その手は不思議と眠くなる暖かな手だったから。
私は意識を飛ばした。
禰豆子さんの瞳の色が違った事に気付かなかった。







〈体を貸してくれて、ありがとうございます。
この子(わたし)を宜しくお願いしますね、禰豆子様〉







禰豆子「気にしないで。

貴女の為に成るのなら幾らでも使って」







〈…ありがとうございます〉








不思議な会話が微かに聞こえたのは、耳が良いからなのかな？
でも、駄目だな。
もう、聞こえない。








目を開けると一面、藤の花。
不思議な感じがする。








『…あぁ、これは夢だ』








想った事は直ぐに言葉が出た。
誰かの夢を見ている。
誰かの目を使って。
でも、何も触れる事は出来なかった。








水も鏡も無いから姿が分からない。
でも、嫌な事を思い知らされる。
この音と匂いの正体。








あぁ、そっか。
個性の訳が分かった気がする。
お爺さんたちの家に大きな藤の木があるのも分かった気がする。








ここに私が縛られてるから(ここに私がいるから)。

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