兄を嫌う少年少女と弟と妹を想う青年【文スト】

伍 ページ46

其れから数年の月日が流れた。

昔よりお兄ちゃんは私に構うようになった。

私も成長してよく1人で居る事が多くなった。

ずっと此生活が続くと思っていた。

けど、神様は酷い方なのか、其れとも試練を与えるのが好きなのか…。

私以外の家族が全員殺された。

そして、お兄ちゃんが何処かに消えた。

家中人々の血が着いており、血腥い匂いが充満していた。









『…之からどうしよう…。

私、1人になっちゃった…』









まだ完全に大人になれていない私には残酷で世界の終わりのように感じた。

其の後或る人に連れられ、私は孤児院に預けられた。

其の孤児院の人達は温かい人たちだった。









『…あれ？私…何かを忘れてる気が…』









誰だろう…。

優しく私の頭を撫でるあの人は…。

お兄ちゃんに似て…るようで似てない男性…。









「Aー！次移動教室だから一緒に行こー！」









『あ、うん』









今は高校に通っている。

孤児院の人達も相変わらず親切だ。

だから、期待に答えたくて沢山勉強をした。

其の努力のおかげか首席で入学出来た。

そして私は今高校三年生。

お兄ちゃんと離れ離れになって何年も過ぎた。









『…お兄ちゃん』(ﾎﾞｿｯ









「A？早く行こー」









『あ、うん。

ごめん、直ぐに行くよ』









お兄ちゃん、貴方は私を忘れたの？

私の事が嫌いだから会えないの？

もう一度あの時のように優しい声で呼んで…。

…貴方が家中の人々が殺される前に私を眠らせた時に呼んでくれたように…。

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