37話 ページ38
*
Aは病院に来ていた。
理由は簡単だ。
母親の見舞いだが、会う訳ではない。
ただ、花を看護師に渡して、母親に届けてもらおうと思っただけだった。
今までAは何度か母親の病室の前まで来たことがあった。
だが、扉を開けることが出来なかった。
手を伸ばし、開けようとすると…怯えた母親の顔が脳裏を過るのだ。
その度に少し伸ばされた手を見つめ、Aは苦しそうな顔をする。
そして、帰るのだ。
母親の事を思いながら。
『(…会いたい、と願うのは駄目だ。
まだ退院していない、て事はまだ無理なんだ…。
甘えるな、私)』
Aは袋を持つ手の力を強めた。
だが、それもすぐに緩められた。
『…あの、すみません。
これを轟 冷に…お願いできますか？』
看護師「あ、はい！
え、っと…お名前を伺っても？」
『…すみません、匿名でお願いします。
きっと、聞きたくないはずなので…』
看護師「……はい、きちんと届けます」
『ありがとうございます』
Aは看護師に一礼して、病院から去った。
看護師「(…匿名とか、結構怪しいけど…。
あの顔を見たら、疑えないよね…。
あんなに…悲しい顔をされたら…)」
看護師の手にあるのは、ネモフィラの花束。
看護師「(ネモフィラの花言葉は確か…)
あなたを許す…」
看護師は急いで冷の病室に向かった。
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引きこもり隊 - 222を223にしてしまった罪悪感…。そして、拭いきれない作者様の神感…。素敵という言葉以外出てきません。 (2022年8月16日 16時) (
レス) @page50 id: af8345609d (このIDを非表示/違反報告)
金木犀 - 最初は軽い気持ちで読んでいたんですけど、最後はめっちゃ泣きました。完結させていただきありがとうございます！ (2022年3月7日 23時) (レス) @page50 id: b5d4ecbe80 (このIDを非表示/違反報告)
まほのためならちねる - すっごい良かったです‼︎ (2021年11月27日 8時) (レス) @page47 id: ad95bf6585 (このIDを非表示/違反報告)
ashleyllerenas(プロフ) - めっちゃ泣いたわ。いい話だった。・゜・(ノД`)・゜・。 (2021年2月19日 2時) (レス) id: d871304124 (このIDを非表示/違反報告)
Iuna(プロフ) - アオさん» ありがとうございますっ！！！！夢主ちゃんの為に家族が一丸となる未来が訪れますよ、きっと！！！！こちらこそ、素敵なコメントをありがとうございます！ (2020年2月16日 1時) (レス) id: 1960f5595d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：Iuna
| 作成日時：2019年3月17日 1時
