十六話 ページ17
僕の前を楽しそうに歩く彼女に聞きたいことを思い出した。
中島「Aさんは何故、太宰さんが嫌いなんですか？」
Aさんは立ち止まり、僕の方に振り返った。其の時の顔は、とても、悲しそうな顔をしていた。
『…座りましょう。長くなる可能性があるので』
ベンチに座り、Aさんは口を開いた。
『…太宰さん自体は嫌いでも、好きでもないよ。案外、普通』
中島「なら、どうして…」
『…私が知ってる太宰さんは、ポートマフィアに居た頃の、昔の太宰さんだから。武装探偵社に居る今の太宰さんを私は知らない。
同じ人、同じ考え方、同じ仕草、同じ言葉、同じ声…。全て同じ。だけど…私には別人に見える。
それに…あの人は……約束を破ったから…何よりも大切な、大事な約束を…』
中島「約束？」
『うん。正確には三人の約束なんだけどね。一人が居なくなって、二人になって、約束、叶う日を待ってたんだけど…そんな日は来なかった。太宰さんが、ポートマフィアから出ていったから…』
中島「Aさん…」
悲しい顔で、少し震えた声で、彼女は言葉を紡いでいく。
『でもね？太宰さんが武装探偵社に行かなければ、私は君と話せなかった。似た境遇の人に出会えなかった。嫌い、嫌いだよ？でも、心の何処かで嫌いになれないの』
そう言った彼女の顔は…酷く弱々しく、儚く、風のように何処かに行ってしまいそうだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 813人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ましろ(プロフ) - 11話の夢主ちゃんの最後らへんの台詞の何階が何回です！ (2022年10月16日 6時) (
レス) @page12 id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
ましろ(プロフ) - 1話の中也さんの台詞で頼むわが頼むはになってます！ (2022年10月16日 6時) (レス) id: c2ca67a91e (このIDを非表示/違反報告)
凛 - 龍虎ちゃんってとてもかわいいですね❕ (2022年2月26日 11時) (レス) @page35 id: b70e4d72d6 (このIDを非表示/違反報告)
Iuna(プロフ) - みるくれーぷ。さん» ありがとうございます！太宰さんは人によって性格変わってそう… (2018年9月26日 0時) (レス) id: 1960f5595d (このIDを非表示/違反報告)
みるくれーぷ。 - 面白いですね！！！太宰さんあなた実はツンデレなのねそうなのね、って思いましたー！！ (2018年9月25日 20時) (レス) id: 54a1816a2e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Iuna
| 作成日時：2018年9月14日 19時
