ポートマフィアの女医には、秘密が或る様で【文スト】

参拾 ページ27

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ポートマフィアに休息や穏やかな日なんて存在しない。



そんな日が何度も繰り返されるのは、光の世界だけ。



今日も、誰かの命が終わった。



寿命でも老衰でもなく、銃弾で。



誰かの手によって其の命が終わった。



其の人の最後に携わる私には、未だに慣れない事がある。



動く事の無い体にメスを入れたりする事は、今でも慣れないし、やらなくていいのならやりたくない。



親御さんの元に戻される事は永劫と無いけれど。



最後の最後位は美しく在りたい、在って欲しい。



そんな私の我儘なのに、私は其れに慣れない。





『…お疲れ様でした』





一歩、後ろに行き頭を下げる。



どうか、安らかに。



そんな事を願いながら意味を成さない報告書を作る。



嗚呼、私は無駄な事しかしていないなぁ。



資源の無駄。



そう云われれば、私は何も否定できない。



ポートマフィアに私のような人間は必要ない。



でも、私は離れる事が出来ない。



雨音の事もそうだし、首領からの圧力も。



私には跳ね返せる程のモノを持っていないのだから。





雨音「何か考え事ですか？
其の瞳は、出来れば俺を蔑む為だけにあれば良いのですが。
…今は、そうも云えませんね」






優しい雨音は、私の為に珈琲を入れてくれる。



血の付いたメスや道具を片目に、暖かい珈琲を飲み込む。



暖かいはずなのに、何処か冷たさを感じて。



嫌な予感がした。

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