狂人短編記録 2冊目

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数日後、とある休日の日にAはまた頭を悩ませていた。

今度は家具の位置を変えたいのだが…これまた自力では持てないくらい重いらしい。



＿「気にすることはない。むしろ頼って欲しいんだ」



しかし頼りすぎてしまったら迷惑になるし和中自身も困るはずだ、と結局心の中で葛藤してしまう。

ちなみに現在和中は別部屋で家事を…



「どうした、A」

『蒼一郎さん…その…この家具を動かしたくて………』

「何処に動かせばいい？」

『あちらに…』

「承知した」



そう言って言われた通りの位置に動かす。その間、どうしよう…とAは悩む。


裏社会の事情は詳しくは分からないが、自身の旦那である和中は天羽組という極道組織に所属しており、いつ死ぬかも分からない戦いに赴いたりしている。

そんな多忙な日々を送る彼の役に立ちたく、率先してあらゆる家事をこなそうとするが…どうしても途中で詰まって最終助けられるのだ。



『…蒼一郎さん』

「どうした？」

『…すみません、何回も頼ることになってしまって。』

「気にするな。それに俺は突然家にいられなくなる時もある。こちらこそ負担をかけてしまってすまない。」



Aに向き直り、優しい香りのする髪をそっと撫でる和中。その整った顔立ちと目が合うと恥ずかしさで目を逸らす。

それが分かっているのか、この間と同じ微笑みを見せながら和中は言葉を続ける。



「迷惑だとは微塵も思ってない。こうしてお前と過ごせることが何よりの喜びなんだ。だから…いつでも頼って欲しいんだ」



Aの頬に手を添えるとスっと顔を近づけ…軽くその唇に口付けを落とす。

顔を赤くしながら再び和中を見つめると彼はでは、茶でも淹れてくると告げ部屋を去る。



…よく見ると一瞬、彼の耳が赤かったような気がして思わずAもその背中を見つめながら微笑み返す。

＊マチェットナイフのからかい【国生英明】△→←＊頼って欲しい【和中蒼一郎】△

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