狂人短編記録 2冊目

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「佐古ぉ、Aの姉貴は無事…」

『守若君…！』


全てを片付け、闇医者に向かうとベッドに座ったAがまさに美しいというべき微笑みを向けてくる。

幸いにも深い傷等は負っていないが念の為1日入院だと告げられたらしい。


『ごめんね、私が弱いから迷惑かけちゃった…』

「何言ってるんですか、助け合ってこその京極組ですよぉ。な、佐古？」

「そ、そうですね！」


Aは力こそ控えめなものの頭脳に優れておりそれを活かして組のシノギを支えたりしている。

しかしAは心優しすぎる故か自分より周りの方が優れている、と思い込んでいる。

そんな慈愛の精神を持ち合わせているAを周りや味方からは慕われており…敵サイドからは狙いの対象になりやすかったりする。



「Aの姉貴…俺、Aの姉貴のこと、凄く尊敬してます。穏やかで、優しくて。組の皆のことよく見てて…少しでも異変があればすぐに動く…そんな姉貴が俺は大好きです」


そう告げる姿は【刺身包丁の守若】ではなく1人の女性を慕うただ1人の男【守若冬史郎】としての姿だ。


『守若君…』

「俺、他にも姉貴のいいとこいっぱい知ってますよぉ。例えば3日前の時は…」


と文字通りAのいい所を語り出す。最初はうんうんと聞いていたAだったが次第に戸惑う。


『えーと、守若君…もう大丈夫だよ？』

「嫌でーす。こればっかりは命令でもやめられません」


そして更に語り出す…





「＜ふふ、まだあの子(A)はギリギリ脈がないみたいだけど…いつかいい話が聞けそうね＞」

「＜た、高砂の兄貴！？＞」

「＜少し前に来たところよ(頑張りなさい、冬史郎ちゃん…諦めないことが大事よ)＞」



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