狂人短編記録 2冊目

・ ページ14

***



阿蒜side



俺の名前は阿蒜寛太。


姉貴と腕相撲することになった新人の舎弟だ。


『わーい、かんちゃんと腕相撲だぁ！』


ニコニコしながら準備に取りかかっているのはAの姉貴。

組内屈指の実力者でトップクラスの狂気を持っている。狂気だけ見るなら組で3本の指に入るんじゃないかと思う。


この間カチコミに同行したのだが…阿鼻叫喚って言葉が合うくらい現場が地獄だった。

え、どんな感じだったのか？…いや、思い出すだけでも寒気がするから言わないでおくよ。

ま、まぁ軽く抜粋すると…



＿『お邪魔しまーす。私たちは掃除屋でーす』

＿『今夜は外道鍋だぁ！』

＿『かんちゃーん、血拭くの手伝え〜』





…確かにとんでもない狂気の持ち主だが優しく、誰か1人でも(外道除く)死ぬと影で泣いているのを見たことがある。

俺はそんな姉貴を恐れつつも尊敬している。


………そういえば抗争が終わった後、村井の兄貴がこんなことを言っていたような…？



＿「阿蒜、お前Aの姉貴にめちゃくちゃ気に入られてるみたいだぞ。」

＿「え、どういうことですか？」

＿「さっき姉貴が『かんちゃんは伝説の舎弟だぁ』って言いながら伊武の兄貴と話してた」





【伝説の舎弟】という肩書きは俺にしか言ってないらしい………そういやあの後伊武の兄貴が「阿蒜、お前伝説の舎弟らしいねぇ、俺と一勝負しないか？」と言って腕相撲したなぁ…(尚結果)



『かんちゃん、何ぼーっとしてんのー？早くやるよぉ。』

「は、はいぃぃぃぃ！」


…不思議な人だなぁ、やっぱ。



***

・→←破天荒な姉貴と【獅子王組】※中編試し書きです

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す