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51話 side You ページ2

きっとこれは夢。そう分かる。
だって私がすごく幼いから。

トニーに会ったのは私がまだ4歳か、5歳だった。

その年に両親が死んだ。

小さくて大して覚えてないけど、『招待された』『久々に会える』『2人が亡くなって以来』そんな言葉を断片的に覚えていると思う。

幸せそうな両親と沢山のロボットを見た。
興味がなくて結局よくわからなかったけど、ロボットが急に暴れて、揉みくちゃにされて、父と繋いでた手が、するりと離れたのをよく覚えてる。

気がついたら既に息絶えた母の腕で、大事に抱かれた私をトニー・スタークが見つけてくれた。

静かになったその場所で、私の顔の煤をはらった後、私を抱いて歩きながらずっと、あーとかうーとか唸っていたのは今でも忘れない。


「あー、大丈夫か?いやいい。何も言うな。大丈夫なわけないよな。僕は何を言ってるんだ。っクソ」
「だれ?パパと、・・・ママは?」
「僕を知らない?まぁそうだよな、トニー・スタークだ。」
「わたしA・スターク。どうしておなじなの?」


あの時の私は、なんの感情もない顔で彼を見ていたかもしれない。

アイアンマンスーツから、顔だけを出して私を見ていた彼は、困ったように眉を寄せていて、今思えば申し訳なさそうな顔をしてた。


「あー・・・家族だ。そうだな。君のパパのお父さんの兄弟が僕のパパだ。分からないよな。いいんだそのうち分かる。だから僕は・・・君のー、あー・・・お兄ちゃんだ。」
「おにいちゃん?」
「そうだ。今日から君と僕は家族だ。いいな?」


そう言ってニヤッと笑ったトニーの顔は、最近見てない気がする。

なんだか少し"寂しい"って思った。

それからまた頭痛が始まって、意識がふわっと浮くような感じがして閉じてた目を開けた。


「お目覚めかい?君もなかなか悲しい過去を持ってる。可哀想に。」
「あ、なた・・・誰?これはどういうこと?」


目の前の男性が楽しそうに笑って、メガネを押し上げた。





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ayame(プロフ) - 枕崎さん» 初めまして!コメントありがとうございます。つたない作品ではありますが、楽しんで読んでくださって嬉しく思います!ゆっくりですが更新頑張ります!お互い体調に気をつけて参りましょう!! (2020年4月5日 10時) (レス) id: a5fbe4eef6 (このIDを非表示/違反報告)
枕崎(プロフ) - 数少ないスパイディの作品から続けて更新してくださって本当にありがとうございます。とてもピュアでそれでいて、もどかしさもありつつの、素敵な作品に出会えて本当に嬉しく思います。これからもお体に触りない程度に更新頑張ってください。応援してます! (2020年3月28日 13時) (レス) id: 8e8712b35b (このIDを非表示/違反報告)
ayame(プロフ) - ゆかさん» コメントありがとうございます。面白いと思ってもらえて嬉しいです!更新頑張ります!! (2020年1月30日 7時) (レス) id: 65dc6c3fef (このIDを非表示/違反報告)
ゆか(プロフ) - 凄い面白い!更新待ってます! (2020年1月25日 10時) (レス) id: 9f082aa266 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ayame | 作成日時:2020年1月6日 0時

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