その太陽に手が触れた【煉獄 杏寿郎】

107話 side 煉獄 杏寿郎 ページ10

職員室までの廊下を歩きながら、Aさんの事ばかり考えてしまう。



突然居なくならないだろうか･･･

元々、利き手が使えない事を口実に、半ば無理矢理 我が家に住まわせている訳だ。

遠慮がちな彼女が、俺の行為を甘んじて受け続けるとは思えないな。




杏寿郎「･･･いや、待っていると言っていたのだから、今日は家に居るはずだな！！！」

伊黒「誰がだ？」



手すりを掴みながら階段を上がっていると、後ろから声が聞こえて振り返った。



杏寿郎「伊黒か！おはよう！！」

伊黒「おはよう煉獄。で？誰が家に居るんだ？それにその目はどうした？ものもらいか？それとも喧嘩か？己が教師である事を忘れて、喧嘩をしたのであれば問題だが。何をした？」



あまりの質問の多さに、驚いたが伊黒が心配してくれているのだと思うと嬉しくもあり、笑ってしまった。



杏寿郎「ハッハッハッハッ！！！何から答えたらいいか！！そうだな！我が家で療養中の想い人を考えていた！この目は喧嘩でも ものもらいでもなく、転んだ拍子に靴棚の角で瞼を切っただけだ！！！」

伊黒「瞼を？それは災難だな。無くなってはどうする。教師をするなら両の眼は大事にしろ。･･･で、想い人とはどこのどいつだ？」


最後の一言に、もちろん反応してしまう。
どこのどいつ･･･、


そのような言い方は、伊黒とはいえども 感心しないな。



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