13.嗄声のひとりごと ページ1
目を覚ました時にはてっぺんにあった太陽は傾き始め、広間がほんのりオレンジ色に染った頃だった。きゃっきゃっと子どもたちがじゃれて戯れる声と、それに対応する低く優しい声が私を呼び戻した。
目を擦りながら体を起こすと、大きなブランケットが掛けられていて、その横に腰かけたセンラと目が合った。
『せんら？？わたし、ねてた、の？？』
「寝とりましたよ、そりゃもうぐっすりと。」
『……ごめんなさい。』
皮肉混じりにそういうもんだから、思わず萎縮して小さな声で謝ると、くすくすと笑う声が聞こえてまた嵌められたと思った。
「大丈夫ですよお嬢。そいつお嬢の寝顔みてニヤニヤしてただけですから。」
『えっ、ほんとう？』
「いや、ちゃいますって、見守っとっただけですって！」
ジト目で弁解するセンラを見ると、余りに焦っていつものポーカーフェイスが少し崩れるもんだからそれが可笑しくて今度は私がくすくすと笑ってしまった。
すると、ほっと胸をなでおろして笑いかけられた。
『そう言えば、この子たち帰らなくて大丈夫なの？』
そう隣にいるセンラに問うと、気まずそうに視線を泳がせ言葉を濁し始めた。中身を問い質す前に、うらたがお母様からの便箋を手渡してきた。
『今朝と違うもの、だけど……まさか……！！』
「ご名答です。お嬢様。」
焦って封を開けて、中の手紙を取り出した。お母様のことだ、そう考えると冷や汗が引かない。
相変わらず可愛らしい文字で書かれた実の母親の文章にざっと目を通して、わなわなとその手が震え始めた。
『な、なにこれ……。』
-----*-----
愛しの娘、Aへ
ひとつ伝え忘れてたいたことがあって
そんなに重要な事じゃないんだけどねっ
テニュー様たち今夜屋敷にお泊まりになられることになってるからおもてなしよろしくね!4人がいるから心配はしてないけど!
母より
-----*-----
思わず手紙を破きそうになった。いや、センラが止めなければ完全に破ってた。
『お母様の重要か重要じゃないかの差が私には分からない。』
「……今に始まったことじゃねぇだろ。」
『正論すぎてびっくりしてるわ。』
如何せん自由で我が道を行く母には振りわまされっぱなしだ。そんな母も本来は賢くて聡明なんだけど……やっぱり天才と変人は紙一重ってことは正しいのかもしれない。
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結月。(プロフ) - 定期的に読み返してしまうほど大好きなお話です。もう1年以上更新が止まっていますが、この作品に出会えたことが凄く嬉しかったです。素敵な作品を紡いで下さり本当にありがとうございました。大好きです。 (2023年1月8日 5時) (
レス) @page27 id: 286dc51d91 (このIDを非表示/違反報告)
ちょこ - 更新が止まってます！戻ってきてください！続き楽しみに待ってます！(´;ω;｀) (2021年7月5日 17時) (レス) id: 5ad0b4ef6a (このIDを非表示/違反報告)
さくらいろ(プロフ) - ゆっこさん» ゆっこさんコメントありがとうございます(^^)大変ゆっくりな更新で申し訳ないのですが、更新は続けていきますよで見続けてくだされば幸いです！ (2020年5月30日 16時) (レス) id: 8627590864 (このIDを非表示/違反報告)
珠菜(プロフ) - とても面白かったです！登場人物の再現だけでなく、ストーリー構成も魅力的でした。浦島坂田船の皆さんの名前を借りない一次作としても楽しめると思いました!!大好きな小説なので、是非これからも更新頑張って欲しいです。体調にはお気を付けて。応援しています。 (2020年4月24日 1時) (レス) id: 93515d92f9 (このIDを非表示/違反報告)
レイン - 続編おめでとうございます！私今年受験生なんですよ。コロナあるのに。なんでやねん！！って思いましたwこれはおいといて、まーしーがすぐに断ってないみたいなので今ハラハラしてます。抜けないよね！？って思ってます！これからも頑張ってください！ (2020年4月19日 1時) (レス) id: 05e6c43b69 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：さくらいろ | 作成日時：2020年4月7日 1時
