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とくにイジメらしい事は朝だけで、授業が進み昼休みが来る。彼女が男に夢中な間に教室を抜ければ私だけが入る事を許された場所へ行く、
同情してくれた事務員さんが私にだけ屋上の鍵をくれた。普段は出入り出来ないし、鍵を閉めてしまえば本当に私だけの場所。
少しずつ寒くなってきた空は澄んでいて夏よりずっと雲が綺麗で、
一人の時間に浸っていれば不意にドアノブが、音を立てて回り、
「 見付けた 」
悪魔が顔を出した。
『 な、んでここ…に 』
怯えを浮かべ必死に逃げようとすれば目の前の彼は慌てて、
「 違う、違うから！俺はAちゃんに話があるだけ 」
とこちらまで歩み寄ってくる。
ドアノブが回ったという事は相手も鍵を持っている、鍵を閉めて居ない、そんな事は有り得ない。
頭をぐるぐると回る思考を断ち切る様に悪魔は一言声を上げた。
「 俺ならイジメ辞めてあげられるよ 」
『 どういう事 』
「 言葉通りだよ？ 」
『 何で、アンタが 』
「 あれ、俺の名前知らない？橋本涼、涼って呼んで 」
無邪気に笑う彼は井上瑞稀の親友らしい、いつもにこにこと人当たりのいい笑みを浮かべるその裏で冷酷に人を切り捨てる一面を持つという。
「 俺もイジメって好きじゃないんだよね。それに 」
遠慮無しに距離を詰めてきた彼は私の顎を持ち上げて、
「 君が、好きだから 」
口付けを落とした。
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作者名：さやめめ | 作成日時：2018年11月20日 16時
