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また、朝が来た。
そう思いながら重たい瞼をこじ開け重たい体を起こす。
少し冷えてきたこの季節はいつもストッキングを履いて制服を着込む。
いい匂いがするリビングを通り抜け歯を磨いて洗顔をして鏡を見る。
そこには花の女子高生の顔なんて無くて少しの絶望と惰性に満ちた顔。
日焼け止めだけ塗り髪を整える。いつも通りの笑顔を浮かべては気持ち悪くて辞めてしまった。
「 おはようA 」
『 おはようお姉ちゃん 』
いつも私を待っててくれるのは姉だけで、両親の顔は見た事も無い。
少食な私に合わせて作ってくれるご飯を胃に流し込めば練習した笑顔を向けて、
『 行ってきます 』
早い時間の電車は空いていてイヤホンを耳に通し端の席に座る。
通学に1時間掛かるからこの時間はいつも眠ってしまう、
二駅前で目が覚めるのはもう慣れで、温い電車を降りて学校へ向かう。
朝練や自習している生徒たちがちらほら居る中私は事務室に上履きを借りに行く。
事務員さんに哀れみや同情の目を向けられるのはもう慣れた、雑巾も借りて画鋲や泥を入れられた靴箱を綺麗にしていれば、
「 あれー？Aちゃんって美化委員だっけー？ 」
高く鼻に着く様なうざったらしい声が響く。それを無視して片付けを終えれば気に食わなかった彼女はまた靴箱を汚す、
「 あ、ごめーん。汚しちゃった 」
目を向ける事も無い、慣れた事だいつもの事だと自分に言い聞かせれば汚れた雑巾を洗いに行く、
「 本当ウザい、早く消えればいいのに 」
すぐ近くで聞こえた声に寒気がすれば、
「 本当だよなあ 」
同調する声が一つ。
「 あ！瑞稀〜♡ 」
彼女の声が猫なで声に変われば男に擦り寄って、
いつも通り、腕を組んで私の前を通り過ぎて行った。
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作者名：さやめめ | 作成日時：2018年11月20日 16時
