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恵Side
とあるアパートの一室の玄関に今いる。
岡崎正の母親の前に。
「自分たちが現場に着いた時にはすでに息子さんは亡くなっていました」
「ああっ…」
「正直自分は、あそこの人達を助けることに懐疑的でした。でも、仲間達は違います。
なし得ませんでしたが、息子さんの生死を確認したあとも遺体を持ち帰ろうとしたんです」
でも、あの状況じゃ持ち帰るには無理だった。
「せめてこれを」
ネームの札を取るだけで精一杯だった。
母親にネームの入った袋を渡す。
「正さんを助けられず申し訳ありませんでした」
「いいの謝らないで…あの子が死んで悲しむのは私だけですから」
母親は泣き崩れた。
自分の不甲斐なさにぐっと手を握りしめる。
こんな時どんな言葉をかけたらいいのかさえも分からない。
虎杖だったら…こんなときどんな言葉をかけるんだろうか。
そんな時ガチャリと自分の後ろのドアが開いた。
『お待ちください』
「A先生…?」
「どちら様で…?」
そこには、長い髪をしっかりと結い上げて高専の制服ではない和服を着ている先生の姿。
『私、この伏黒恵の副担任をしております。墨村Aと申します。この度は、息子さんの件御愁傷様でございました。
しかし、私の独断で今回、正さんのご遺体を現場から運んでおります』
「え?」
いつの間に…しかもあんな正得領域の展開されてる空間の中。
『お母様にはすぐにでも、息子さんをお帰ししたいのですが、息子さんも今の姿をお母様に見てほしくないと思いますので、こちらで生前の姿のようにしっかりと綺麗にしてご自宅にお帰し致しますのでもう少々お時間頂いてもよろしいでしょうか?』
「正は…しっかりと帰ってくるんですか…?」
『はい、お約束致します』
母親の涙は、悲しみの涙から嬉し涙に変わった。
「ありがとうございます…っ、正をよろしくお願い致します」
『はい、お任せください』
ひと通り今後の話と、生前の写真を受取り、二人で自宅から出る。
「あの…先生…」
『んー?なに?』
「…いえ…ありがとうございました」
『おう、任せなさい』
先生は、ワシャワシャと俺の頭を撫でる。
まるで、大丈夫だからと言うように。
俺は…いや…俺達は、本当にいい先生に恵まれたと思う。
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しろくま(プロフ) - プスメラウィッチさん» コメントありがとうございます!!五条落ちで話を進めて行きたいと思います!亀更新ですが、よろしくお願いします!⸜(*ˊᵕˋ*)⸝ (2022年3月16日 21時) (レス) id: bc6721de12 (このIDを非表示/違反報告)
プスメラウィッチ - しろくまさん初めまして、この小説は五条悟オチですか?できれば五条悟オチでお願い出来ますか?続き頑張ってください。応援しています。 (2022年3月16日 21時) (レス) id: 6c0ddf792c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろくま | 作成日時:2022年3月5日 18時