citron 2【アンナチュラル】 (ページ6)

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「ああ……酒くせえ、クソが。ヘルプどころかクソの役にも立たねえ、こいつら」

酔いつぶれた東海林と久部君のところにはビール缶やつまみの袋などが散乱しており、系は文句を言いながらゴミを片付け、私は食器を洗って片付ける。

あ。あとで毛布だけ被せてあげないと。

『ミコトも座りっぱなしだとダメだよ、ちょっと体動かしたら？』

「んー！そうするぅー！」

ミコトは立ち上がりストレッチをしながらあたりを見回した。

「あっ！絵本だ～中堂さん、この絵本読んでもいいですか？弟によく読んであげたんですよね～」

「ああ、好きにしろ」

本棚に置いてあった、茶色い小鳥と書かれたタイトルの緑色の絵本を手に取った。

絵・作こうじやゆき。

「こうじや、ゆき……」

「知らないだろ、マイナーだからな」

『そうだね…私と系は好きなんだけどね』

「Aコーヒー」

『はーい』

ミコトはペラペラと絵本を読み進め、私は頼まれたコーヒーを2つ淹れ自分は、紅茶を淹れる。

「俺にはよく分からん。いい絵本かどうか。そいつに才能があったのか、なかったのか」

そう言うと中堂はまた顕微鏡を覗き込む。

「中堂さん……何か、何かできることがあれば。法医学者として、何かできる事があれば……」

神妙な面持ちのミコトに、中堂は優しく答えた。

「今やってる、な？」

『そうだね。はい、ミコトコーヒー』

「……そうですね」

ニコッと微笑んだ系、それにつられて私も微笑んでミコトにコーヒーを渡す。

そのまま時折休憩を入れながら朝までかけて調べる。
そして、朝日がカーテンの隙間から入る。

「はあ～……結論でたか？」

「はぁ～でました～！」

ぐっーと伸びをするミコトにお疲れ様と微笑む。

『さて、朝ごはん作ろうかな。何食べたい？』

「私、また味噌汁食べたい。今度は卵焼きつけてね」

ミコトはそう言うと、チラッと系を見る。

『はは！了解！卵焼きね！』

「チッ、俺の卵焼き…」

『まぁまぁ、駄々っ子系君には別の卵焼きにしてあげるから』

「誰が駄々っ子だ！」

『君だよ、君！』

その後、頭が痛いと嘆く二人を起こして朝食を取る。
東海林は、卵焼きがある！と叫んで嬉しそうに食べてくれた。

『ほら』

「ん…」

仕方ないから君のは明太子入りだよ。

「あー！！また、中堂さんの卵焼き違う！」

「ホントだ！明太子入ってるし！」

「だぁー！！うるせぇ！」

『あはは！』

平和だなぁ～…