citron 2【アンナチュラル】 (ページ49)

今日:78 hit、昨日:456 hit、合計:63,076 hit

8-5 ページ49

検査室で薬毒物の検査結果を全員で待っていたその時、ピピっと作業の完了音が鳴った。

「薬毒物検査の結果２００種類どれも引っかからなからず」

「ニコチンは出てないか？」

「出てません」

『胃の内容物は？』

「腐敗で分解が進んでよく分かんないけど成分からすると加工肉」

「ソーセージとかですか？」

「うん、そんな感じ」

『でも、異様に腐ってたのはなぜ…？細菌が繁殖して腐敗を早めたとか？』

「腐った食べ物をわざと食べさした。犯人は毎回犯行の手口を変えてる。殺しを楽しんでるからなんでもアリだ」

『じゃあ、細菌検査が必要だね。死因に関係あるかもしれない』

「培養して調べてみる」

「最短で何日だ！？」

食い気味で聞く系に、東海林は申し訳なさそうなに答える。

「ど、どんなに急いでも、培養に３日は」

「……頼んだ」

それだけ残し部屋から出ていく系を見て、東海林に視線を戻す。

『ごめんね…私も手伝うから』

「大丈夫だよ」

__________

「あれからずっと静かっすね」

皆であのあと、外でお昼を食べていると久部君は呟く。

「おとなしすぎて気持ち悪い」

『ははっ、今回は馴れて』

「また解剖室にいるみたいですけど、いいんですか？」

「必要な証拠は採取したし、検査結果が出るまで何もするなって言う方が酷じゃない？」

『まぁ、今はそっとして好きなようにさせて』

「何か調子狂う」

『ん？』

「傍若無人でムカつくオラオラ男が恋人の姉が殺されてずっと一途に犯人追ってたなんて……しかも、お互い大好きなのに遠距離恋愛までして犯人を探してたAも…どんな目で見ればいいの？」

少し落ち込む東海林にミコトはサラッと応えた。

「いいんじゃない？今まで通りで。
Aも中堂さんもちゃんと話し合って離れるけどちゃんと想い合ってたしそれに自分達で望んでやってたことだし。
中堂さんはそういう過去がなかったとしても、傍若無人のオラオラ男だし、AもきっとこのままのAだよ」

『言うね本人を目の前にして』

「そっか、たしかにね」

ミコトに同意しながら東海林は笑った。

『それにさ、私達に同情なんかしてたら言いたいこと言えなくなるでしょ？何かあった時に止めてくれるのは三人だって思ってるし』

「え？何するの？」

「…犯人見つけたら殺すつもりなんです」

「え…？ちょ…」

「それをしたくなる気持ちはわかるんですけど…でも、人を殺す二人を俺は見たくないかな…」