citron 2【アンナチュラル】 (ページ46)

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〖週間ジャーナル特集記事〗
「１０名死亡火災ビルの隣で発見！スーツケース詰めされた女性遺体」

そう見出しが出てる記事のコピーを私と系は食い入るように見ていた。

なんでこんな記事がすぐにでるわけ…？
ほんとにこの記者たまたま現場に居合わせたの？

変な不信感と不安を過ぎれないまま、会議室では毛利さんと向島さんを迎えて、今回の事件についての説明を求めていた。

「あの空き家は半年前まで飲み屋でしたが店主が店を畳み、それ以来借り手がつかない状態でした。空き家の入り口の鍵は火事の消火活動の折に壊されており誰でも出入り出来る状態でした」

『誰でも入れるところに、犯人はわざわざ遺体を置いたってことですか？』

「そう言うことになりますね」

「解体は表の看板でも告知されてましたし、ビル火災のニュースは連日テレビで放送されてました。あえて目立つ場所に置いたのは犯人の自己顕示欲ともとれます」

「被害者の身元は分かりましたか？」

神倉さんの問に、向島さんは頷き、はいと応えると被害者の情報が書かれたプリントを出しながら答える。

「ポケットに残っていたレシートからカード番号がわかり、橘芹菜さん２９歳と判明しました」

系は被害者の情報が載ったその紙を誰よりも早く手に取ると、また食い入るように読み始めた。

『すみません、お気になさらず、続けてください』

「はい、では続けます。
２ヶ月前に会社を辞めて無職。中野区で一人暮らし。実家は横浜。空き家付近には縁もゆかりもありません」

「被害者の交友関係と現場周辺の目撃情報から捜査する方針です」

「橘芹菜さんの口腔内の写真から口の中にいれられていたものを再現しました。」

毛利さんの説明に続き、久部君再現した映像を画面を映す。
映し出された画像は、カラフルな魚の模様がついたボールだった。

「大きさ、形から合致したのがこれです。動物用のおもちゃのボールです」

「口腔内の粘膜は弱いので、すぐに傷がつきます」

ミコトは立ち上がり、画面の映像を指差して説明する。

「この凹凸の硬い部分が粘膜を剥がして模様のような痕を残した」

「犯人は猿ぐつわの代わりにボールを使い、死後に取り出すと言う行動を繰り返してるのではないでしょうか？でも、痕跡が残っていることに気付いていない」

久部君の推測に系と同様に眉間に手を当てて考えてしまった。

『ペット…犬みたいな扱いを…っ』