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「銃槍から前歴者を洗ってもらったところ、該当者がでました!町田三郎さん、42歳。
暴行と傷害で前科一犯。長野東刑務所にいた頃の歯の治療歴を取り寄せたところデンタルデータと一致。本人と確認されました」
「務所帰りのヤクザ者か〜」
「両親は健在ですが、数十年前に勘当したっきり会ってないそうです」
『喧嘩かぁ〜…取り敢えず連絡お願いできますか?ご遺体確認もしてもらわないとなので』
「わかりました」
__________
翌日、町田さんのご両親が連絡を受けてUDIにやってきた。神倉さんと数名が解剖室に集まり町田さんの納体袋を出すと神倉は言う。
「ご覧にならない方がいいと思います。こうした場合、焼き場に搬送して荼毘に付すことになります」
「警察から、息子は殺された可能性があると聞きました。火事はそれを隠すための放火やったって」
「まだ、断定は……」
まだ早いと伝えようとするミコトの言葉を遮りお父さんが声を上げた。
「この、ボンクラ息子!悪さばっかりなんばしとるんか!殺されるなら殺されるで周りに迷惑かけんで1人でくたばれ!おめえのせいで9人も死んどるんぞ!この、罰当たりのろくでなしが!」
「ううっ……」
『……………』
怒鳴る父と横で泣き崩れる母。
それをなんとも言えない空気が解剖室を包んだ。
__________
「中堂さ〜ん、A〜」
ミコトは通路でばったり会った私達をを引き止める。
「あの、町田三郎さんのご遺体について見落としがないかみてもらえませんか?」
「銃槍の件は俺でも間違える傷だ」
「……フォローありがとうございます。でも、お願いします」
そう言ってミコトは中堂へ町田さんのファイルを渡す。
「こっちも見てくれ」
「え?」
「何百回と見たが見落としがあるかもしれない」
そう言いとあるファイルをミコトに渡し私達は所長室へ行き、ミコトは渡されたファイルを開くとそこには鑑定書と書かれている。
「8年前の事件の……」
「そうだ。糀谷夕希子の遺体はスクラップ置き場に捨てられていた。靴は履いてなかった。荷物もない。後の検査で体内に高濃度のニコチンが検出された。致死量以上のニコチンを注射されていた。事故じゃない。誰かが殺意を持って殺した」
「唯一の手掛かりが口の中の金魚」
『そうなの、私も何百回と見たけど、新しいことは見つけられなかった』
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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (8月15日 14時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
光菜(プロフ) - 更新、楽しみに待っていますね! (2022年1月19日 21時) (レス) @page42 id: 994989bbfc (このIDを非表示/違反報告)
みず - 更新楽しみにしております。 (2020年9月28日 9時) (レス) id: 00d86bc4f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろくま | 作成日時:2020年9月6日 8時