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『あー!!!!』
「うわっ!びっくりした!なに!」
『思い出した!あれ、ソア橋だ!』
モヤモヤしていた白井君の朗読していた小説がわかり声を上げた。
小説の中身を思い出し、この看板についていた擦れた痕をみて確信がもてた。
『ミコトー!なんかそこ排水口あるー?』
「え?あるよー!」
『やっぱり…分かったよミコト、Y君の死因』
Aの顔は凄く悲しそうな顔をしていた。
ーーーーーーーー
「お待たせ、分かったよ。Y君の死因が何か」
ミコトと私は職員室に戻り白井君に電話をかける。
他の3人は外で白井君を探すため動画をイヤホンに繋いで、ルミノール液を使って血痕の痕跡を探す。
「Y君は出血多量で亡くなった。凶器はS君の手元にあるナイフ。背中に刺したナイフが体を貫通する直前まで達した為、お腹に皮下出血が現れた。
この皮下出血を傷口の出口と考えて、背中にある傷口と位置を照合してみた。三ヶ所とも、ピッタリ重なる」
ノートパソコンで画像を表しながら説明をする。
「ピッタリ過ぎて、不自然」
〖不自然?〗
ノートパソコンからノートに変更する。
「普通、三ヶ所も刺せばナイフの入る角度はバラバラになる。でも、Y君のご遺体はどの傷も入り口と出口が同じ高さで左右のズレもない。皮下出血の出方が同じということは、3回とも同じ深さで垂直に刺されたことになる。
殺害現場には白い粉が落ちていた、調べたら紙粘土だった。凶器のナイフの柄にも白い粉が見えた。恐らく紙粘土に…」
ミコトはそう言いながら、手元に準備していた紙粘土に鉛筆を3本立てていく。
「同じ刃渡りのナイフを3本突き立てて乾燥させて固めたんじゃないかな?
それで、その上に背中から倒れ込めば自分の背中を自分で刺すことが出来る。背中に三ヶ所も刺し傷があれば誰かに刺されたようにみせかけられると考えた。
でも、そのためには凶器を隠さなきゃならない。そこで、“ソア橋”という短編小説のトリックを使った。このトリックは私と同じ法医学者のH先生が気がついた。ここからはH先生が説明するね」
そう言って今度は私が言葉を発した。
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理音(プロフ) - 続き気になります!更新楽しみにしています! (8月15日 14時) (レス) id: d2e2ccbd11 (このIDを非表示/違反報告)
光菜(プロフ) - 更新、楽しみに待っていますね! (2022年1月19日 21時) (レス) @page42 id: 994989bbfc (このIDを非表示/違反報告)
みず - 更新楽しみにしております。 (2020年9月28日 9時) (レス) id: 00d86bc4f0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:しろくま | 作成日時:2020年9月6日 8時