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「こんばんはっ!冨岡先生!」

「…ああ、成瀬か」

「ぐふふ、びくっとしましたね!」



じーっと人の行き交いを見つめる先生にそろりそろりと近づいてわっ!と肩に飛びついた。

ぴくりとだけ反応した冨岡先生はらしいっちゃらしい。



「何の用だ」

「一人でお祭りなんてつまらないかなあって!」

「見回りなんだからつまらないも何もないだろう?」

「うーん…なんでも楽しく出来ちゃう方が素敵じゃないですか?」

「…よくわからない」



こてっと首を傾げる先生は天然というやつだと私は思っている。いつもは恐いくせしてこういう時は可愛いんだもんな。

楽しいは素敵…?とカタコトのように呟く先生にくすすと笑って「ということで!」と大きく言葉を放った。



「私が勝手に一緒にいるだけなので気にしないでください!」

「気にするだろう」

「そうですか!では屋台で何か食べましょう!」

なんで…?

「ムフフ、やはり定番は焼きそば辺りですかねえ。冨岡先生は何がいいですか?私買ってきますよ!」

「…成瀬と同じものでいい」

「わかりました!」



戸惑ってたなあとくすすと笑いながら屋台を回って、先生の喜びそうなモノ、私の食べたいモノを基準にして探した。

ある程度買って先程の場所へ戻るとやはり先生は人が行き交いするのをじーっと見つめていて、やっぱり来てよかったとほっと胸を撫で下ろす。

失礼ながら不審者っぽい。



「成瀬」

「…迷いましたが焼きそばとたこ焼きとお好み焼きにしました!シェアしましょう?」

「それに加えてそれも買ってきたのか。買いすぎじゃないか」



先生の指差したのはわたあめにりんごあめにかき氷。

持ってくるのは大変だったが私は甘いものが大好物だ。持って帰ってでも食べたい。



「折角のお祭りですもん!」

「…」

「先生も食べてもいいですよ〜?鮭大根はさすがにないですけどねえ」

「遠慮する。代金は俺が払う」

「えー!いいんですか!?さすが先生太っ腹〜!」

「奢られるわけにはいかないだろう」

「それは私を女としてみてくれてるということですかあ?」

「何を言っている?成瀬は女だろう?」

「そうですね!!」



盛大に空振った私のフリにとほほと悲しく思いながら割り箸を割る。

先生はいただきますとだけ言って無表情のまま焼きそばをもぐもぐと食べていた。



(あっ口元にやけた)



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作者名:ゆゆ。 | 作成日時:2020年2月21日 0時

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