遅すぎたんだ。【爆豪勝己】 (ページ5)

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後悔したって、もう遅い０４ページ5

　
　
改治が待ち合わせに来なかったことにイラつきながらも、学校へ向かう。

回りのモブ達は俺の歩く道上から消える。察しのいいやつらで助かった。

「くそが……」

そうやって教室についたとき、そこにいたのは、バッサリと髪を切った改治と、半分野郎だった。

なあおい、なんでLINE無視したんだよ。
なんで髪の毛切ったんだよ。
そんなんじゃ、まるで、失恋したみたいな――

頭が完全にパニックになり、ぐるぐると視界が歪む。

「ほら来たぞ、爆豪」

「うー、緊張する……。話聞いちゃダメだから！」

「ああ」

改治は、俺の方に歩み寄ってきた。
何かを言おうと口を開くも、なにも出てこない。

「あのね、かっちゃん。私、かっちゃんのこと好きでいるのやめたよ。金魚の糞みたいに、回りをうろちょろするのも、うざったい求愛行動もやめる」

「……は、」

お前は、俺が好きなんじゃねえのか？
俺のこと、大好きなんだよな？
だって、今までずっとそうだっただろ？

「ずっと前から迷ってた。暴言吐かれて、殴られて、もう嫌でやめたくて。だけど、好きだったの」

だけどもう、ふっきれた。

そう言う改治の目は、デクよりもまっすぐで純粋で――

「私、轟くんのこと、好きになっちゃったんだ」

「……は？」

「クソビッチだって、尻軽女だって、好きなだけ言えばいい。だけどもう、好きになったのもは仕方ないの」

はっきりと視界に色はあるのに、よくわからないぐにゃぐにゃとした世界。

吐き気とも言える感覚が、嫉妬とも呼べる感情が、ぐちゃぐちゃに頭の中へと放り込まれていく。

「ごめん。大好きだったよ、ありがと！」

にかっと笑って去る改治。

――手を伸ばしそうになって、やっと知わかった。
俺は、ずっと昔から、改治が好きだったんだ。

暴言を吐くのは、素直になれないから。
俺から離れなくしたつもりだったのは、ずっと側にいたいから。

「……あぁ、っクソ」

遅すぎるんだよ。
改治が他人好きになってから気づくって。
　
　
　