16.3cm ページ43
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「むら、さん……ッ」
kwmr「兎堂が泣くなんて相当だからね。僕でよければ話聞くよ」
「っわか、んない……なんで、ないてるのか、わかんないッ」
kwmr「……じゃあ、なんで僕の家に逃げてきたの」
「わかんないっ……けんく、女の人と、一緒にいて……ッやだって、思って……っ」
kwmr「あー……」
ポン、ポン、と変わらぬテンポで背中を撫でられる。
その穏やかなテンポに段々と乱れた呼吸が整ってきて、でも喉の奥のつっかけは取れなくて。
知らない。こんなに苦しい感情、知らない。
kwmr「―――嫉妬、ほんとに今日までしてこなかったんだね、兎堂」
嫉妬。
自分とは無縁だと思っていた、言葉。
実際、今まで嫉妬したことは無かった。
逆に彼も、私に嫉妬することは無かった。
kwmr「それは、その女性に兎堂が嫉妬してるんだよ。嫉妬してるから、嫌だって思う。
好きな人が別の女性と一緒に居て、嫌だなんて思うのは普通の事だよ。だから、ちゃんと福良と話し合いな。
そうしたらきっと、お前らなら、ちゃんと分かりあえるから」
―――大丈夫。もし駄目だったら、いつでもここに逃げておいで。少なくとも二人は、兎堂の味方だから。
耳元でそっと囁かれて、徐に彼に体を離される。
涙でぐしゃぐしゃの顔で彼を見上げれば「ぶっさいくだな」なんて笑って、ごしごしと少し乱暴に袖で涙を拭ってくれた。
kwmr「一つだけ助言しとくと、あいつは兎堂が思ってる以上に、お前のこと大切に思ってるから。擁護する気は無いけど、一応友人としてね。それだけ言っとく」
くしゃっ、とむらさんは私の頭に手を置いて、励ますように頭上で二回バウンドさせる。
「……今日はむらさんと寝る」
kwmr「距離感がガバガバなのは相変わらずだな」
「……一センチ離れて寝る」
kwmr「単位間違えてない?」
彼の家につい突撃してしまったけど、やっぱり来てよかった。
明日、ちゃんと拳くんと話そう。それで、ちゃんと謝って、仲直りしよう。
だって今更、彼無しの人生は、考えられないから。
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白菜(プロフ) - SALTさん» いえいえ、私なんてまだまだぺーぺーなので見つけられなくて当然です。こんな数ある作品の中から私の作品を見つけてくださっただけでも光栄です。fkrさんの小説は他の方もかなり面白いお話を書かれてるので、是非探してみてください!コメントありがとうございました! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
SALT(プロフ) - 白菜さんの作品を見ながらなんでこんな神作者様と神作品を見つけることが出来なかったんだろうとorz←の形でコメ打ってます((問打の方々ではあまり見ない方の小説でしたが面白かったです!遅くなっていますが完結おめでとうございます(*´ω`*) (2021年3月30日 10時) (レス) id: 17a3f4fea4 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - 本当に素敵なストーリーでした!福良さん… (2020年9月27日 21時) (レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 白菜さん» そうなんですね(笑)一言一句漏らさないように読んでいたのに(ストーカーかよ)興奮のあまり見逃していたのかと思いました…実は太田さんの方の「おまけ」を見て読み直したくなったんです…。あ、因みに私、2回目どころじゃないと思います、なんなら暗唱できます(やめろ) (2020年9月6日 21時) (レス) id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
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