10.0cm ページ22
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Fkr side
僕らは今、大手ホームセンターに足を運んでいる。
理由は単純。この前オフィスでやったあみだくじが、同居するに行ったから。
そんなことで決めるなんてどうなんだ、と思われるかもしれないが、彼女がそれが良いって言うんだから仕方ない。
それに別に同居しなくとも、僕らは殆ど同棲状態、所謂半同棲って感じだったから、特段急ぐことでも無かったのだ。
ただまぁ、一応彼女とは好き同士でお付き合いしているわけで。
同居するに向かわせてくれた神には、それなりに感謝している。俺無神論者だけど。
fkr「Aはどんな家具欲しいの?」
「うーん……拳くんと並んで座れるソファー」
fkr「あー確かに今のソファーじゃ並んで座れないもんねー」
「拳くんは何色が良い?」
fkr「んー白かな?」
「汚れ目立つよ」
fkr「じゃあ、茶色?」
うーん、と腕を組んで悩む彼女を、ちらりと盗み見る。
もうすっかり見慣れた光景ではあるけど、やっぱり彼女は小さい。
俺と須貝さんは大体身長が一緒だから、端から見れば彼とAが並んでいるくらいが、俺と彼女が並んでいる時の絵面なのだろう。
だとしたら、俺ら相当身長差あるんだろうなぁ。
「……私見つめてもなんも出てこないよ」
fkr「あぁ、違う違う。俺ら身長差凄いんだろうなぁって思って」
「……ちっちゃい彼女いや?」
fkr「ううん。可愛くて好きだよ」
「良かった」
俺の彼女は滅多に笑わない。感情の起伏が少ない、という表現が最適かもしれない。
けれど時々、彼氏の俺でもびっくりするほど、可愛らしい笑顔をAは浮かべる。
例えば、そう。今とか。
ふにゃあ、と溶けたようなという表現が最適な、気の抜けた笑顔。
この笑顔が、俺は付き合ってすぐの頃からずっと好き。
俺にしか見せてくれない、特別な笑顔だから。
fkr「手ぇ繋ぐ?」
「いっつもそんなこと言ってこないのに、珍しい」
fkr「んー、今日は繋ぎたい気分だった」
駄目?と首を傾げて見せれば、彼女は緩慢な動きでふるふると首を横に振って。
それから、小さくて可愛らしい右手を、差し出した俺の左手にするりと絡めてきた。しっかり指先も。
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白菜(プロフ) - SALTさん» いえいえ、私なんてまだまだぺーぺーなので見つけられなくて当然です。こんな数ある作品の中から私の作品を見つけてくださっただけでも光栄です。fkrさんの小説は他の方もかなり面白いお話を書かれてるので、是非探してみてください!コメントありがとうございました! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
SALT(プロフ) - 白菜さんの作品を見ながらなんでこんな神作者様と神作品を見つけることが出来なかったんだろうとorz←の形でコメ打ってます((問打の方々ではあまり見ない方の小説でしたが面白かったです!遅くなっていますが完結おめでとうございます(*´ω`*) (2021年3月30日 10時) (レス) id: 17a3f4fea4 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - 本当に素敵なストーリーでした!福良さん… (2020年9月27日 21時) (レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 白菜さん» そうなんですね(笑)一言一句漏らさないように読んでいたのに(ストーカーかよ)興奮のあまり見逃していたのかと思いました…実は太田さんの方の「おまけ」を見て読み直したくなったんです…。あ、因みに私、2回目どころじゃないと思います、なんなら暗唱できます(やめろ) (2020年9月6日 21時) (レス) id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
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