1.0cm ページ2
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Fkr side
彼女との出会いは、実によくある普遍的なものだった。
大学四年の春。
数学が好きで入学した大学も、今年で卒業。
新しい友人もできて、学業も私生活も充実した大学生活だったけど、一つ言うとすれば、出会いは一切無かった。
最近は増えてきたが、まだまだ人口としては少ない理系女子。工学系の学部よりも多いと思うが、それでもやっぱり女子となると人数は少なくて。故に、出会いも全く無かったのだ。
「じゃーん!この子がAちゃん!」
そんな俺に、友人が気を遣って紹介してくれたのが、今の彼女―――兎堂Aだった。
第一印象はとてつもなく失礼だが、え、小学生?だった。
俺にそう思わせた要因の一つとして、彼女の身長がある。
これは後に聞いた話なのだが、なんと俺と同い年だという彼女は140cmしかないらしい。
つまりは、俺と30cmは差があるということで。140cmという値は見たことがあるが、実際にそれを目の前にすると、本当に小さかった。
fkr「初めまして、福良です。福良拳。コブシと書いて、ケンって言うんですけど」
「……兎堂、A……」
fkr「ウドウさん。ウドウさんも、東工大なんですよね。僕も同じです」
初めて出会った彼女は、常に俯いていた。友人曰くコミュニケーションが苦手らしく、それを知った俺は確かにと頷いた。
そして初日はそのままあんまり会話をすることなく、友人の一言で解散することとなった。
それから数ヵ月が経った頃、どういうわけか彼女の方から連絡が来た。
内容は至ってシンプルで、だけど「今日会えますか」という突拍子もないもの。
それでもその日あったバイトを休んで指定された場所に行ってしまったのは、少なからず俺の中で、彼女という存在が根付いていたからで。
fkr「お久しぶりです、兎堂さん」
「……お久しぶり、です。福良さん」
fkr「あ、僕のこと覚えててくれたんだ」
指定された公園に来ると、彼女はベンチで一人ちょこん、と座っていた。
その姿は遠くから見ると本当に小学生で、そんなこと口が裂けても言えないな、なんて思いながら声を掛ける。
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白菜(プロフ) - SALTさん» いえいえ、私なんてまだまだぺーぺーなので見つけられなくて当然です。こんな数ある作品の中から私の作品を見つけてくださっただけでも光栄です。fkrさんの小説は他の方もかなり面白いお話を書かれてるので、是非探してみてください!コメントありがとうございました! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
白菜(プロフ) - 花蓮さん» ありがとうございます! (2021年4月2日 17時) (レス) id: 367472b3a3 (このIDを非表示/違反報告)
SALT(プロフ) - 白菜さんの作品を見ながらなんでこんな神作者様と神作品を見つけることが出来なかったんだろうとorz←の形でコメ打ってます((問打の方々ではあまり見ない方の小説でしたが面白かったです!遅くなっていますが完結おめでとうございます(*´ω`*) (2021年3月30日 10時) (レス) id: 17a3f4fea4 (このIDを非表示/違反報告)
花蓮 - 本当に素敵なストーリーでした!福良さん… (2020年9月27日 21時) (レス) id: b11d0cfa2b (このIDを非表示/違反報告)
和奏(プロフ) - 白菜さん» そうなんですね(笑)一言一句漏らさないように読んでいたのに(ストーカーかよ)興奮のあまり見逃していたのかと思いました…実は太田さんの方の「おまけ」を見て読み直したくなったんです…。あ、因みに私、2回目どころじゃないと思います、なんなら暗唱できます(やめろ) (2020年9月6日 21時) (レス) id: ea0b227b7d (このIDを非表示/違反報告)
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