私だけの優しい王様【影山飛雄】 (ページ5)

今日:2 hit、昨日:13 hit、合計:18,334 hit

story05 ページ5

練習試合前日

飛雄も私も落ち着かなかった。

貴方「…明日…勝とうね」

飛雄「当たり前だ。」

とかいって本当は不安なのバレバレ。

及川徹もセッターとして優秀な選手。

もちろん技術も才能も飛雄がずば抜けて上だけど

飛雄に足りないものを及川さんは持ってる。

それが飛雄が及川さんを超えられない理由。

貴方「…一人じゃないよ。飛雄は……一人じゃない」

飛雄「……俺よりお前のほうが不安だろ。無理に励まさなくて良い」

優しく私の頭を撫でてくれる。

その優しさに目頭が熱くなる。

飛雄「…お前も一人じゃねぇ。あの日みたいなことは起こさせない。」

貴方「っ……うんっ………あり……がと……」

飛雄「帰るか」

貴方「遠回りして帰りたい」
　

飛雄「わかった」

少しでも長く一緒にいたい。

明日の不安をわすれるように
飛雄の声聞いていたい。

何も言わず飛雄の手を握れば

飛雄も察したのか何も言わず握り返してくれた。

私の手を握る手も優しい。

飛雄「…着いたな」

目の前には私の家。

明日が怖い。

せっかく変わり始めた飛雄も崩れたら

私もまた居場所がなくなったら？

そんなことなるはずないのに怖くなる。

飛雄「…大丈夫だ。俺がいる。今度は……ぜってぇ守る」

ふわっと飛雄の優しい香りに包まれる。

これだけで不安が軽減する私も単純なのかも。