無花果

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「は...、はぁっ、うまれたぁ...？はぁ...」


めちゃくちゃ難産だったけど、よく頑張ったねと助産師さんに褒められている翔太はまたボロボロと泣いた。待ち望んだ赤ちゃんの産声が響いた瞬間から、安心やら嬉しさやら色んな感情でいっぱいの涙を溜めていた双眸が俺を捉えたかと思うと、大きく開かれた。


「、え....？お前、泣いてんの、？りょ、た」


「....翔太、頑張ったね。お疲れ様」


質問には答えず、汗で額に張り付いた前髪を撫で付ける。その間も驚いたようにこちらを見つめる翔太に苦笑した。





□




「んん〜...、」


お昼に蓮を寝かしつけて、一緒に寝落ちした翔太の頭を撫でる。
すくすく育って、最近1歳になった蓮を見てこの子が産まれたときのことを思い出していた。


痛いことが大嫌いで、体の弱い翔太が赤ちゃんを産むなんて正直すごく心配だった。実際すごく難産で、どんどん呼吸が浅くなっていく翔太を見てその不安は煽られていくばかりで。

あの時、翔太の呼吸が乱れたことで低酸素状態になった蓮の心拍は80まで低下した。それを知った翔太は、苦しい呼吸を懸命に整え、俺の手を握って力を込めた。
体は弱くても、母親としての自覚の強さと翔太の覚悟を見た俺は、その手を強く握り返した。


「んんむ...、まぁま〜、ふぇ」


「ん、れん....」


少しぐずった蓮を泣き止まそうとすると、その前に翔太が気づいて寝かしつけた。そうしてまた気持ちよさそうに眠った2人を見て、愛しいこの存在を守ると、強く誓った。



end







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