無花果

カランコエに誓って:dtnb (リク) ページ15

あずにゃん 様からのリクエスト
dtnb編です。
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side nb


「......ひま。」


病室のベッドに座りながら、ぽそっと呟く。3日前、38度台の熱が1日引かず体の怠さも感じたので病院へ行くと、大事をとってそのまま管理入院。
結局熱はすぐに引いたし、今はめちゃくちゃ暇を持て余してる。元々あまり体が強い方ではないから、すぐに診てもらえる環境にいれるのは有り難いんだけど...。

結構しんどかった3日前を思い出して、こいつに何もなきゃいいけど、と膨らんだお腹に触れた。
母体の体調が、ダイレクトに胎児に影響することもあるのは初産の俺でもよく分かってる。妊娠後期で気持ちが不安定なのもあるらしいけど、少し不安になる。


「翔太、おはよう。体調どう？」


「あ、涼太おはよう。大丈夫だよ、ありがと」


病室の扉を開けて涼太が入ってきた。足までしか布団が掛かってないのを見て、冷えちゃうよと言ってお腹まで掛けてくれた。
妊娠が分かってからは特に、涼太がこうやって俺を気にかけては甲斐甲斐しく世話を焼いてくれるようになった。周りに言わせれば前からそうだったらしいけど。

でも妊娠してからの涼太の口癖は「1人の体じゃないんだから」だし、阿部ちゃん程じゃないにしてもちょっと悪阻の症状があった俺の食事は涼太によって正されていた。


「......涼太って結構過保護だよな」


「うん？翔太のこと大事だし、愛してるからね」


....こうやって、いつもの余裕の笑みでこういうこと言うから俺は何も言えなくなるんだ。




□


side dt


病室で迎えた最初の陣痛から既に30時間、分娩室に移動して2時間が経っていた。大量に汗をかいてボロボロ涙を流しながら、助産師さんの呼吸法を懸命に繰り返している翔太。


「うぅ〜っ...、っぃたい、はぁっいたいぃ...」


「宮舘さん頑張って！力入れて！」


多分今翔太は最大限力入れてると思うけど、どれだけいきんでも赤ちゃんは中々降りてきてくれないらしい。
20年以上の付き合いでも見たことのない辛そうな翔太の顔を見るけど、強く握って離れない翔太の手を摩ることしかできない。


「...はぁっ、は...っ」


呼吸が安定しなくなってきた翔太に助産師さんが呼吸を促すけど、それも上手くいかない。酸素マスクを付けられてなんとか力を込めようとするが、呼吸が浅く力が入らない様で顔を歪めている。


「っ、胎児の心拍下がってます」


「っ...」


焦ったような先生方の声に、握られた翔太の手が力を込めた。

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