【00×マクロスΔ】虹色の歌姫・８ (ページ14)

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智(……私達は00。戦うんじゃない、歌を届けるんだ)

―――ありがとう。また戦うところだった自分を止めてくれて―――

智恵理は心の中で凪沙に礼を伝えると、マイクを口元に近づけ歌いだす。
きたりえを撃った青年や中年男性への怒りは消えていない。きたりえの安否が不安で怖くて仕方ない。
それでも歌わなければいけない。

智(私はセンターノヴァなんだから！)

智恵理は歌った。誰よりも大きな声で、響くようにと力を込めて。
その歌声には怒り、不安、恐怖。必要とされない悲しみ。早く鎮圧しなければという焦りと、センターノヴァという立場の重圧。様々な感情が籠っている。
自分がしっかりしなければ、という強すぎる思いから必死になって歌う彼女の耳にはメンバーの歌声が聞こえていない。

必死のあまり、そばで歌うゆいはんがなにか複雑そうな表情をしていたのに気づかなかった。

こうして智恵理が再びキララを輝かせたことによって、最後に残っていたセイレーン化した不良達の自我を取り戻し、DES軍とマフィアの攻撃を防ぎながら急いでこの惑星から脱出したのであった。

――――――――――――

　食堂での会議の後、治療を終え眠るきたりえを窓越しに見て、ぱるるや友歌と合流した後秋葉星に帰るまでの間メンバーは自由時間を過ごした。おやつを食べたり、自主レッスンを行ったり、一眠りして休息する等それぞれ好きなことをやりに向かう。
だが、Aはツバサに話があるから来るように言われ、指定された部屋に向かった。クリスタルタワーの総支配人室に似た室内に入り、執務室に座るツバサとそばに控える南野、栞と対面する。三人は真剣な面持ちをしていた。

ツ「あなたの鎮圧ライブでの歌、素晴らしかったわ。キララの輝きも増々強くなって、やはりあなたをスカウトしてよかった」

A「ありがとうございます。それで、話って何ですか？」

ツ「記憶をまた少し思い出したようね。ライブ中にみぃちゃんに言っていた”みくも”とは誰？」

A「…え？」

”みくも”

その名を聞き、Aの心がドクンと反応する。
脳裏に紫の髪を靡かせた女性の後ろ姿がよぎった。顔や声は思い出せない。だが、彼女のオーラが9代目優子に似ていて、自分が加入していた音楽グループ・ワルキューレのエースポジションではないかと思う。携帯電話に入っていた、エースと思われる女性の歌声がその”みくも”ではと考えていた。
そのことをツバサに話す。