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今まで何度も思ったことだが、今も父親がなぜ大勢の人々を傷つけてきたのか理解できなかった。会社を大きくする為なのか、他に何か企みがあったのかわからないが、どんなわけがあっても誰かを傷つけていい理由にならない。
織「やめてください!智恵理は悪くありません!智恵理に八つ当たりするのは間違ってます!」
真「そうです!智恵理は今まで00として真剣に頑張ってきました!それは皆さんもわかってるはずです!」
セイレーン化した少年ら、自分達を捕まえようとするマフィア、ぞくそくと集まってくるDES軍と戦いながら叫ぶ同期の二人。智恵理の元に行こうとするが、彼らに邪魔されてできないでいた。
マフィア「どうやらこいつらはお嬢さんの歌なんかいらないようですね」
激しいショックを受ける智恵理の心に、自分の歌がいらないという何よりも辛い言葉の刃が突き刺さった。
智("いらない"……
私の歌はこの人達に望まれてない……)
棒立ちの彼女は隙だらけで、キララもすでに輝きを失い完全無防備である。そんな智恵理にある男性がレーザー銃を向かって構えていた。そのことにきたりえがいち早く気づく。
き「智恵理!」
―――ビシュッ!!!
智恵理の前方に突然きたりえがセリーを発進してきた。そして、レーザーがきたりえの背中から左脇腹に当たる。智恵理の目が大きく見開いた。
智「…!?ぁ……」
き「……怪我、ない?」
智「っ…!」
きたりえの左腹部分から赤いものが衣装に染み出して、それが血だと理解しても智恵理は恐怖で震え何も言えず、動けないでいた。
「きたりえ!!」「きたりえさん!!」、とあちこちからメンバーの悲鳴に似た叫び声が響く。きたりえは苦痛の表情でセリーを着地させると倒れ込むように横たわる。ここでようやく智恵理は我に返りセリーを飛ばして地上に下りる。
智「きたりえさん!」
き「……智恵理、歌って……00でい続けるんでしょ…その覚悟を見せて……」
智「…!」
ゆ「智恵理どいて!きたりえ喋らないで!」
急いでゆいはんが駆け寄り、智恵理の体を押して力付くでどかせると救急セットを取り出し応急処置をする。
き「悪いけどあとお願い…」
苦しそうに呟くと目蓋を閉じた。
智「い…や!きたりえさん!!目を開けてください!!」
智恵理は涙を流しながら悲痛な声を上げる。殺された父親のようにきたりえまで、と思うと怖くてたまらなくて泣き叫ぶ。いつものクールさなど微塵もない。
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作者名:空 | 作者ホームページ:http://id38.fm-p.jp/213/7772010/
作成日時:2023年8月10日 19時