【00×マクロスΔ】虹色の歌姫・６ (ページ23)

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ドン、と爆発音が響き建物の一部が崩れた。彼方のなかになにかが切れた音がする。

彼「やめろ―――っ！！！」

激高して猛スピードでDES機に突撃すると、サーベルで銃を持つ両腕を切断した。さらに両足も切断して行動不可能にする。パイロットがいる胴体部分が落ち転がった。彼方は息切れをしながら母親の無事を確認する。

彼「母さん無事！？」

母「大丈夫よ！それより彼方は無事なの！？」

彼「私は大丈夫。早くシェルターに入って！」

伊佐は彼方に礼を言うと、娘を心配する母親を強引に引っ張りシェルターに向かう。走る二人の背を見届けると彼方は前を向いて今だ暴れている複数のDES機を睨む。

彼「奪われてたまるか…！」

―――ほら、やっぱり戦わないなんてウソツキ♪―――

また彼方の頭に先ほどの少女の声が聞こえてきた。

―――ね、あなたが長い間目指してた復讐を果たしてお父さんの無念を晴らそう。
戦うことこそが正しいんだよ。だってさっきみたいに戦わなきゃあなたの大切な家族や仲間、故郷の人達まで殺されちゃうよ。それでもいいの？―――

悪魔の囁きが彼方を洗脳しようとする。
マイクの柄を握る彼方の手に力が入る。心臓の鼓動がドクドクと激しく鳴る。汗が流れる。胸が、心が苦しい。痛い。

歌えなければキララが輝かない。輝かなければ鎮圧できない。今自分にできることは戦うことだけではないか、という考えが過る。

彼(嫌だ…もう奪われたくない！)

攻撃音や爆発がうるさく響く戦場に凛とした歌声がよく聞こえた。
彼方ははっとして振り向くと、Aが瓦礫の山の上で歌っている。

近くで飛ぶ無人LASからワルキューレの曲『涙目爆発音』の演奏が流れ、Aのライブが始まった。
Aの頭上ですでにキララが輝いており、その光はどんどん強く大きくなり周囲を照らす。光を浴びたDES機パイロット数人の動きが止まり、やがて正気を取り戻していった。

彼方はその光景を茫然と見ていた。
やはりAはすごい。彼女はキララを強く輝かせることができる。この輝きには神秘性を感じさせる。
可憐な容姿とアイドルとしての圧倒的オーラ、そして何より高いパフォーマンスで人々を魅了させる力がある。

彼(なのに私は…)

キララを輝かすこともできず、悪魔の声に惑わされかけた。自分が情けなくて悔しくて、オリジナルたかみなや先代に申し訳なさを感じる。