きゅう。彼 ページ10
次の日の放課後
(雨か……)
玄関まで来ると雨が降っていた。
幸いな事に、僕は筆記用具などは2つくらい持ってないと心配になってしまう性格なもので折り畳み傘は鞄の中に2つ程入っている。…まあ渡す人いないけど。
すると隣から小さく
｢雨かー……｣
と、呟く声がした。
視点をその人に向けると
昨日の放課後、図書館でお世話になった中性的な人だった。
僕は思わずその人に声をかけてしまった。
｢あ、あの、｣
｢え？｣
｢…僕傘2つあるんで…1つ貸しますよ｣
｢え？！そんな…だ、大丈夫ですよ！｣
意外と謙虚な人だった。
｢だって…傘無いと帰れないじゃないですか｣
｢………あ、あははっ……！ありがとうございます！じゃあ使わせてもらいますね｣
｢あ、はい｣
なんか笑われちゃった…。
赤色の傘をその人に渡してその人は僕から離れて行った。
…あ、そういえば年組と名前言うの忘れてた…どうやって返してもらおう。
＿＿
＿
昼休み、僕はいつもの様に1人でお弁当を食べようとしていた。虎井くんとは一緒に昼食を食べようとした時以来から話せていない。
(また今度一緒って言ったのにな…)
すると
｢天乃ー｣
｢？！｣
噂をすればなんとやら、とはこの事だ。
虎井くんが自販機の飲み物を奢ってくれるらしい。
｢天乃何飲む？｣
｢…ミルクティー…｣
｢じゃあ俺もそれにしよ｣
虎井くんからミルクティーを受け取ると僕の後ろから
｢あ、トラ先輩！｣
という声が聞こえた。
｢おお！紫苑！｣
｢？…｣
僕を挟んで会話をされるのもムズムズして声の主の方に振り返ると
昨日の傘を貸した子がいた。
｢あぁ！昨日の！｣
｢…こんにちわ｣
「んぇ、なになに？2人知り合いなの？」
僕は虎井くんに昨日会った事を説明しといた。
「へー」
興味なさそうだ…。
…てゆーか「トラ先輩」…いいな。少し呼んでみたい気もある。
「そーだよ！！傘！返したいんでちょっとここで待っててくれませんか？」
「あ、わかりました。」
そう言って紫苑と呼ばれてた男の子は走ってどっかに行ってしまった。
多分あの子は男の子だ。今なんとなくそう思った。
「…傘ここに持ってきちゃダメでしょ」
「あ、折り畳みだから…」
「ああ…」
１ヶ月ほど前の僕なら虎井くんに自販機を奢られるなんて思いもしなかっただろう。
いつから虎井くんの隣に居られる資格を手に入れたのだろうか。
…これからも隣に居たいな。
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むす(プロフ) - にーちゃんさん» わわ…嬉しいです！ご愛読ありがとうございます！（^^） (2022年2月25日 20時) (
レス) id: 320895ff94 (このIDを非表示/違反報告)
にーちゃん - とっても面白かったです！！！ (2022年2月25日 20時) (レス) @page15 id: e3270e9fa9 (このIDを非表示/違反報告)
むす(プロフ) - たこ焼きさん» 入学大歓迎ですよ……(^O^) (2021年10月28日 17時) (レス) id: 320895ff94 (このIDを非表示/違反報告)
たこ焼き - 今すぐこの学校に入りたi((((殴 (2021年10月28日 16時) (レス) @page4 id: 508c9e96c0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：むす | 作成日時：2021年10月26日 16時
