本日ハ晴天ナリ ページ10
破れた鼓膜が戻る。
周りの剣士を一掃するだけでこのザマだ。最も突っ込んできた馬鹿な隊士は破れる間もなく吹き飛んだだろうが。ちろりと水の紋様が見えたから抵抗しようとした水の門下いたんだろうな。今となっては誰かどれか、皆目検討も付かないが。
気分は晴れ晴れとしている。曇り一つない晴天だ。
これが積み上げてきたものの差だ。覚悟がまるっきり違う。お前らが倒してきた腐った鬼とは格が違う。そんなショボい流れで、炎でこの勢いが止まるとは思うなよ。
鬼になっても努力を欠かさなかった。俺は強い。だからこそここまでの鬼狩りが揃った。乙、丙、そっちは丁か?粒揃いだな。随分小せぇけど
負ける気は一切しなかった。
応援にきた奴ら、善逸も全員俺を見ている。「獪岳だ」「あの、師匠を裏切った獪岳だ」「キサツタイの面汚しだ」と呼ぶ。
あちこちから批難の視線が止まない。ジリジリ照る太陽のようにアツい視線だ。
どうやら爺が死んだことは周知らしい。任務がなくなっちまった。マ、楽でいいな
獪岳は肩の力を抜きスと一人を見つめた。
常に手柄、結果が全てだ。伝えりゃ上々。だが俺が目指すのは優である。親が格好いいと子供は腐らねぇ。カカカと笑った。
グ、と隊士が近づく。それぞれの呼吸がキラキラ反射して獪岳を囲む。鬼に成ってから久しい日の輝きのよう。眼を薄く閉じた。
正しく豪雷。正しく悪鬼。
炎はかき消され風は惜しくも雷の前に跪き、水は咎めの前に成す術もなかった。夜が晴天に化けしとしとと散った呼吸が獪岳と善逸を濡らした。
「獪岳!
お前ッ、よくも鬼になんてなりやがったな。
俺だってッ、爺ちゃんはお前のこと後継にって…お前のこと心配してたんだぞッ!」
「ンなこと知るわけねぇだろ」
ビ、と刀を振って血を払う
「俺を軽んじたお前ェらが悪いんだろ
ツケが回ったんだ。受け入れろよそんくらい」
「お前ッ!!いつから変わっちまったんだよ!
お前の音はもっとッ」
「うるさ。マジで知らねェそれ。俺に聞くな」
獪岳は刀を構える。
怒れ。怒りに任せて飛びかかってこい。俺は怒れども怠けはしなかった。
これが俺の一閃だ。
「遅ぇよ――――――陸の型 電轟雷轟」
「ッ獪岳!!逃げるなッ!」
「着いてこれねぇのはテメェだろ?
あァ死んだ爺に伝えとけ
『獪岳は元気でやってます』ってよ」
地獄で俺の名前でも聞けばいい。
トンだ笑い話だ。晴天の"ヘキレキ"だろ?
本日ハ晴天ナリ 終
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水菜(プロフ) - 零華さん» コメントありがとうございます。ちゃんとオトせたので満足いたしました!重ねた努力分のプライドは高価であるし高いと思います。読んでいただきありがとうございました。ご縁がありましたらまた。 (2020年3月18日 13時) (レス) id: 92ee7868b2 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 完結おめでとうございます!最後のオチは、あぁ~という感じで、良くこれを思い付いたなと思いました。壱ノ型だけが使えないというのは、プライドの高い獪岳には不完全で嫌だったのかも知れないですね。そして最後に短くてもとても楽しかったです!。次もガンバレ!! (2020年3月17日 19時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
水菜(プロフ) - 零華さん» ありがとうございます。短いお話になる予定ですが付き合っていただけると嬉しいです(._.) (2020年3月10日 21時) (レス) id: 92ee7868b2 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - こういう、小説みたいのって少ないから嬉しいです。やっぱり獪岳が、鬼滅キャラの中で一番好きです!!続き楽しみです。更新頑張ってください!。 (2020年3月10日 15時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:水菜 | 作成日時:2020年3月10日 2時