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ひっくり返ってまた明日 ページ1

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獪岳は決して弱い隊士ではなかった。努力を怠ったこともない。汚泥を啜り人を犠牲にしヒトとして生きようと努力した。努力の才が与えられた子供だった。どんなときも何があろうと己を第一に誰にも負けぬように。





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名は獪岳。生まれは町。物心ついた頃には母親は傍らで冷えていた。大正になろうと言うのに栄えの影にはいつも蝿がたかっていた。
夜闇に紛れ、いつもいつも他を犠牲にして生きてきた。数日分の食料をもった仲間が寝ているうちにこっそり食料を盗み出し森へ森へと紛れた。彼は餓えに喘いだだろうが。

どの町へ出てもやることはさして変わらなかった。お武家の門にさらし首にされているのは盗っ人だそうだ。

なんでも漆器を盗んだとか。
志願で雇った使用人って話じゃァないのかい。
確か病気の娘さんがいるだとか。

人を脅かすモノは人でなし、ヒトデナシと呼ばれるようになった。人びとは石を投げつける。裏切った物には相応の報いがある。
人を裏切り犠牲にしてきた自分はもはや人ではないヒトデナシだ、と言われた様だ。

さらし首の真っ黒な眼球越しに己のあの世を見た。


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転々としているうち獪岳は師に拾われた。己をまっすぐ見つめてくれる稲妻みたいに鋭い爺だった。剣術を教え、教育を施し、家族のように扱ってくれる人だ。足は義足で鬼にやられたのだと聞いた。


鬼にも種類があるようで師匠はツラツラと語り俺はそれを紙に写した。飯は同じものを食べた。明るい炎を真ん中に正面に座った。
如何せん山のなかなのできらびやかな物は無かったけれど師匠の一閃はどんな骨董や翡翠よりも美しかった。




真っ直ぐ見つめたその眼差しが他にも注がれたとき。俺はどんな顔をしていただろうか。

会うは縁の切れ目→



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設定タグ:鬼滅の刃 , 二次創作 , 獪岳
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水菜(プロフ) - 零華さん» コメントありがとうございます。ちゃんとオトせたので満足いたしました!重ねた努力分のプライドは高価であるし高いと思います。読んでいただきありがとうございました。ご縁がありましたらまた。 (2020年3月18日 13時) (レス) id: 92ee7868b2 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - 完結おめでとうございます!最後のオチは、あぁ~という感じで、良くこれを思い付いたなと思いました。壱ノ型だけが使えないというのは、プライドの高い獪岳には不完全で嫌だったのかも知れないですね。そして最後に短くてもとても楽しかったです!。次もガンバレ!! (2020年3月17日 19時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)
水菜(プロフ) - 零華さん» ありがとうございます。短いお話になる予定ですが付き合っていただけると嬉しいです(._.) (2020年3月10日 21時) (レス) id: 92ee7868b2 (このIDを非表示/違反報告)
零華 - こういう、小説みたいのって少ないから嬉しいです。やっぱり獪岳が、鬼滅キャラの中で一番好きです!!続き楽しみです。更新頑張ってください!。 (2020年3月10日 15時) (レス) id: f56491ae0c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:水菜 | 作成日時:2020年3月10日 2時

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