やあ、初恋の人。《 名探偵コナン×ルパン三世 》

92 WEDDING RING ページ3

表情は優雅に微笑まれていたのに、
手と声は か弱く震えていて。

その様子と涙に思わず目を見開いてしまう。












『……やだなもう…これじゃルパンの顔がよく見えないな…』


止めどなくこぼれ落ちる涙に
苦笑いしながらそう伝える彼女。






ル「Aちゃん…」



いつかの電話や
ついさっきまでの会話と違う話し方は

”ブロンピュール”から初めて
”Aちゃん”が顔を出したようで。


数時間前に終えていたはずの再会を、
今やっと果たせた気持ちになって。











頬に触れる…
俺を15年間愛し続けた健気な少女の右手に、
思わず自分の手を重ねていた。









『ルパン……』


ル「大丈夫、見づらくてもいるぜここに。
もう中途半端に消えたりしねぇから……」

『……うん、ありがとう…』




泣き顔でもなお美しい笑顔を俺に向けて
彼女は静かに口を開いた。












『…ルパン 私ね、本当は15年前のことを忘れかけてたの。』

ル「！え…」






『初恋も記憶も…あなたに盗まれかけてた。
けど、私は忘れてなかった。忘れたくなかったの。


ルパンの事を…______________________

ルパンを好きになった事を。』












『ブロンピュールになったのは、
世界一有名な”悪女”になって…ルパンに見つけて欲しかったから。
それに、ルパンの横に立っても恥ずかしくない
泥棒になりたかった。

”ブロンピュール”の功績は知ってるでしょう？実力は磨いてきた。
足でまといになるつもりはないし、
私がいる限りルパンの人生を退屈にもさせない。だから…











・













______________________ルパンが好き。愛してる。

あなたと一生 傍に居させて。』












ル「______________________っ……」
















____________________世界一の”悪女”。


今までずっと
俺のためにそれを演じてきたのは…
こんなにも純粋な少女だった。


悪女の名ににそぐわない、その一途さに。

色んな感情が溢れ出した。













Aちゃんは…
豪華なダイヤの指輪を俺に渡しながら言う。











『_________________________この勝負、

勝敗は……ルパンが決めて？』














俺と彼女との勝負の品。

けど、今の俺には
これを盗む気なんてもうなかった。盗める訳がなかった。











受け取った指輪を持ち直し、彼女の華奢な左手をとる。















そして、健気な花嫁の指に…そっと指輪をはめた。

93 PINKY RING→←91 BEAUTY

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す