警察学校時代から完全無欠なあの男に今近づきたくて仕方ない《名探偵コナン》

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エントランスをくぐった俺に、フロントの女性が丁寧に頭を下げてからそう言った。


降「"神楽坂"という女性に用があるんですが…」

「神楽坂さまのお客様ですね。少々お待ちください」


愛想よく言った女性がフロントの
奥に入って行くと、
すぐに別の女性が出てきた。



「初めまして、降谷さま。
わたくし神楽坂さまのコンシェルジュを務めさせていただいている者でございます。

失礼ですが、ご身分証と神楽坂様とのご関係をお願いいたします」

高級マンション住みの上に
コンシェルジュ付きにも驚きながら
”降谷零”の身分証を提示した。



降「彼女の仕事仲間です。
名前を伝えてもらえれば分かるかと」

「かしこまりました。少々お待ちくださいませ」



そう言ったコンシェルジュの女性は
フロントの電話を使って誰かと話し始めて。

口調や内容からして
どうやらAに確認をとっているらしい。

しばらくすると彼女は困り顔になって
受話器を置いた。




桜「神楽坂さまはご関係者さまとのご面会をお断りしておられます。

申し訳ありませんが…
お部屋をご案内する事はできません」


…当の本人からの面会拒否に
心臓の痛みが半端ではないがなんとか粘る。





降「そうですか…では
少しだけ電話を繋いでいただけませんか？」
　

迷っている様子の彼女に
「ね？」と頼んで手を合わせると

ポッと顔を赤くした彼女が
「少しでしたら…」と頬を緩めつつ
電話を繋いでくれた。


差し出された受話器を受け取って
耳に当て、Aの名前を呼んだ。





降「_______A。俺だ」

『！？…降谷』


降「すまない、無理を言って繋いでもらった。
…声を聞けてよかった。」

『……』



…顔が見えなくても、
声を聞くだけで安心する。
たった数時間 話せなかっただけなのに。









降「…例の事件について風見から話を聞いた。」

『…！』


少しの沈黙の後 それを言った瞬間に、
電話の先で Aが息を飲む声がした。

そんな彼女に…俺は続けて。





降「彼から伝言を預かって来たんだ。

”何があっても公安部一同で君を守る。
だから…もう一度帰ってきて欲しい”、と」


『！っ……』










降「…Aが公安を去った理由は分かる。
君の気持ちを考えたら
あまりにも無神経かもしれない。

けど、俺も風見も部下達も。
Aへの気持ちは皆同じなんだ。
ずっと…君を待ってる。


いつでもいい、気持ちの整理がついたら…
戻ってきてくれないか？」

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