51 【赫巫女事件】 ページ16
全身を
大きな瞳からは涙が零れ、頬の赫を洗い流していく。
今日の礼拝には全国民が教会に集まるから、生き残りは居ない筈だと思いながらざっと辺りを見回す。
体調が悪くて礼拝に出ていなかったりした少数の民も、一人残らず消し去った。
服が汚れるのも構わず、ペタリ、と地面に座り込む。
「あああああぁぁぁごめんね、ごめんね繝ォ繝シ繝溘い」
脳裏に過る彼女の声、笑顔、仕草。
後悔に苛まれ、とめどなく涙が溢れていく。
やがて涙も枯れ果てた頃、かつて慕われた姫巫女は立ち上がる。
手を掲げると、悲しみを吹き飛ばすかのように大きな声で呪文を呟いた。
たちまち国が白銀に染まる。
美しかった建物や道には雪が降り積もり、花は凍る。
青かった空は暗くなり、暖かく陽気な気候だった国の面影は無い。
姫巫女の身体から半透明の「ナニカ」が抜け出た。
ソレは姫巫女を抱きしめ、小さな声で何かを呟く。
姫巫女の体に手を添えて、「ソレ」を抜き取る。
スウっと冷たくなった姫巫女の体を花畑の凍る土の中に埋め、氷花の花束をその上に捧げる。
そして半透明の「ナニカ」は冷たい空へと飛んで行く。
かつて存在した暖かな小国。
花畑は凍り、街は冷たく埋もれた国。
豹変した優しかった筈の姫巫女。
かの国は、もう存在しない。
《コノ国入ルベカラズ》
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これで筆者の知っている物語は終である。
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「繝ォ繝シ繝溘い・・・・・・約束守れなくてごめんね」
なんて言っても、君は許してくれないだろうか。
当然だよな、君の友人や上司、君を慕っていた民たちを殺しちゃったんだもん。
でもこれだけ言わせて、ごめんねって。
あともう1つ。
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霧雪@誤字王女(プロフ) - (。∀°)さん» ありがとうございます!更新頑張ります・・・! (2019年4月2日 8時) (レス) id: dcec4ba55e (このIDを非表示/違反報告)
(。∀°) - 更新頑張ってください! ふぁいとです (2019年4月2日 8時) (レス) id: f5f2476ed5 (このIDを非表示/違反報告)
霧雪@誤字王女(プロフ) - ブラピさん» ありがとうございます、とても嬉しいです!ゆっくりめな更新ですが頑張らせていただきます! (2019年1月15日 18時) (レス) id: dcec4ba55e (このIDを非表示/違反報告)
ブラピ - 小説とても面白いです!更新頑張って下さい! (2019年1月15日 1時) (レス) id: e896eb0a17 (このIDを非表示/違反報告)
霧雪@誤字王女@怠惰の眠り(プロフ) - 彩菜さん» 一応人型になれますよ〜 (2018年11月24日 7時) (レス) id: dcec4ba55e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霧雪 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/a0dca1215a10/
作成日時:2018年11月23日 20時