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足にも手にも枷がついてて動けない。 この窓からの脱出は無理だろうなあと考えた。 せっかく、綺麗な満月なのに。
勝己はもう寝たかな、と横を見てみた。 勝己の目はまだ開いていた。
月の光に照らされた彼の横顔。 シミ一つない白い肌に、怪しく光る赤い瞳。 何も喋らない彼は静かだったけど、目は、どうやって抜け出そうかと熱く煩く思考を巡らせていた。 部屋の中を睨みつける勝己。
勝己は絶対に気づかないのだ。 僕を単なる気のいい、友達想いな幼なじみの1人だと思っている。 僕の中で生まれて、既にどうしようもないくらい肥大化してしまった彼に対する思いは、行き場を失っている。
彼も、同じ気持ちだったりするのだろうか。 出久は鈍感で、絶対に勝己に気持ちなんかに気づかない。 勝己を、ただの意地悪な幼なじみとして認識しているのだろう。 こうしてる間も成長してるかもしれない、彼の出久に対する思いは？ 一体、どこを行き場としているのだろう。
僕の場合、口にすることのできない本心は、行き場をなくして黒い感情へと変換され行く。 心のスマホで文字を打つと、真っ先に変換用語に『黒い感情』が出てきて、僕はそれをタップしている感じだ。
ふと、僕は勝己が好きだと、全身で感じた。
勝己が好きだと言いたくなった。
あいつは出久の事が好き、という話は、頭からすっぽ抜けた。
月に照らされた勝己が、あまりに妖美だった。
「ねえ勝己」
僕は声を出した。 勝己は顔はこちらに向けず、チラリと横目で僕を見た気がした。 気がした、というのは、僕が目を瞑ったからだ。 月の光が僕の頬を撫で付ける。
「好きだよ」
部屋に響く僕の声。 ずっとずっと言いたかった言葉は、思った以上に簡単に口から出てきた。 気持ちを伝えるって、こんなに簡単な事だったのかと、暗闇に包まれながら考えた。
「こんな状況なのにそんな冗談やめろクソが」
勝己は忌々しそうに吐き捨てた。 心が痛む。
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アイト - 好きな感じの、話です！続き、待ってます。頑張ってください！ (2018年4月1日 18時) (
レス) id: 28880c114b (このIDを非表示/違反報告)
かやん(プロフ) - けいとるさん» コメントありがとうございます！ 頑張ります！ (2017年10月2日 19時) (レス) id: fbec895554 (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - 面白いです！ 頑張ってください 応援してます!! (2017年9月26日 20時) (レス) id: a21381c293 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かやん | 作成日時：2017年9月24日 15時
