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夢を見た。 幼き頃の夢だ。
狭い狭いダンボールの中に閉じ込められる。 息ができなくて苦しい。 ろくに穴も空いてなくて酸素が足りず、じっとしているのに息が切れる。
誰か助けて欲しい。 誰か。 叫びたくても声が出ない。 喉は既にカラカラだった。 いつからここに閉じ込められているのだろう。 弱い声で、やっとのことで「お父さん」と口にする。 僕をここに閉じ込めた張本人は来る事はなかった。
突如、ベリベリっと煩い音がして、僕の頭上が明るくなった。 光が眩しくて目を絞る。 そこには、よく遊んでいる隣のマンションの出久がいた。
「……な、んで、ここに……」
どこからかお父さんの怒鳴り声が聞こえた。 凄く、怒っている声だ。 出久は焦った顔をして「走ろう」と僕の手を引っ張り、僕をダンボールから出した。
僕と出久は玄関へ向かって走る。 後ろからお父さんが追いかけてくる。 でもお酒を飲みすぎたのか、足元はフラフラだった。 出久は僕の家を出た後も、僕を引っ張ってどこかへと走っていた。 後ろを見ると、お父さんはまだ追いかけて来ていた。
僕は走った。 お父さんが怖くて、チーターさんかってほど足を動かした。 僕らは近くの駅にまで走ってきた。
「待てっこの糞ガキ！！」
汚い言葉を吐くお父さんはまだ追いかけてきていた。 もう、ダメなんじゃないか。 泣きそうになる僕を出久はまた引っ張って、改札口の端の、空いている所を通った。
そのまま、今にも扉が閉まろうとしている電車に乗り込む。 僕らが乗り込んだ瞬間、扉は締まり、扉の外で忌々しそうな顔をするお父さんを見た。 お父さんの肩を、駅員さんが掴んで注意している所まで見えたが、それはどんどん小さくなっていった。
逃げきれた。 僕らは床に手をついて、息を整えた。 疲れがどっと出てきた。
「出久、なんで僕の家に来たの？」
「だってAくん、今日僕と遊ぶ約束してたじゃん。 いつまで経っても来ないから来てみたら、誰も来ないし。 鍵も空いてるし。 そしたら、Aくんの声が聞こえたから、つい」
僕らは適当な座席に座った。 朝から何も食べてなくて、喉がカラカラだと出久に訴えたら、出久は大変だという顔をして、肩にかけていた水筒を僕にくれた。 その水筒に入っていた水は、どんなジュースよりも美味しかったって事を覚えている。
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アイト - 好きな感じの、話です！続き、待ってます。頑張ってください！ (2018年4月1日 18時) (
レス) id: 28880c114b (このIDを非表示/違反報告)
かやん(プロフ) - けいとるさん» コメントありがとうございます！ 頑張ります！ (2017年10月2日 19時) (レス) id: fbec895554 (このIDを非表示/違反報告)
けいとる - 面白いです！ 頑張ってください 応援してます!! (2017年9月26日 20時) (レス) id: a21381c293 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かやん | 作成日時：2017年9月24日 15時
