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「わぁ、これまた趣のある…」
任務先の廃ビルに到着した。いかにもな雰囲気で、確かにこれなら呪霊も生まれるだろう。
補助監督の人に帳をお願いして、2人で敷地内へと足を踏み入れた。
「久しぶりに合同任務かも」
「?先輩は単独任務には行けないのでは…」
「うん。でも、無理やりお願いして単独任務にしてたの。私なんかが他の人に着いてっても価値ないから。どうせなら1人で地道にやった方がね。人手不足も解消されるんだ」
何より、あの頃は任務で死のうが女として売られようが変わらないと思い込んでいたから。でも今は、ちゃんと規定通りに単独任務はやめた。
全てはこの先のことを考えて。とにかく私は周りの人達のために生存率上げていかないと、死んじゃったり不自由な身体になったりしてしまう。
五条君には勿論、小さな小さな妹に心配はかけたくないから。
「ほんとに弱っちいから期待しないでね。高専でもガチ捨て駒扱い、だから頼りにしないで!」
「…」
「この任務の成功は七海君の活躍にかかってるからさ、私はおまけだと思ってもらって」
「…その」
「ん?」
「…命のやり取りをするこの場で、そういうのはどうかと思います」
なるほど、考えたこともなかった。普段1人で地道にこなしていた後先も考えていない仕事とは違って、今回私は彼の命を預けてもらっており、その逆も然り。私が蔑ろにしたものは彼にも影響が及ぶのか。
まさか入ったばかりの後輩にそんなことを気づかされるとは思いもしなかった。
「…ごめんなさい、七海君。君の言う通りだ。大丈夫、弱いなりに精一杯やる」
「いえ、こちらこそすみません」
「ううん、そういえばそうだよね。長らく合同任務に行ってなかったから、そういう感覚抜けてた」
「…」
「そっかぁ、一緒に戦えるんだなぁ。五条君も夏油君も家入ちゃんも、一緒に任務に行ったことはないから新鮮。
頑張ろうね、七海く…」
─────────あーあ、言ったそばから。
視界に映ったのは、この世の終わりみたいな虚無顔で呪霊に鷲掴みにされている七海君。
「……苦しくない?」
「今は、まぁ」
「そっか…祓おうか」
「はい」
七海君を掴んでいる呪霊の腕に、指だけ猫又のものへと変身させ、爪をぶっ刺した。
呪霊は痛がり七海君を解放する。
「よっしゃ、頑張ろう!」
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作者(プロフ) - みぃさん» コメいただいていたのに気づかなくてすみません💦ありがとうございます!頑張ります! (11月12日 17時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初コメ失礼します!このシリーズの作品がすごい好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (11月6日 14時) (レス) id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 皐月さん» ありがとうございます🥰更新頑張ります! (10月9日 22時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!これからも応援しています (10月9日 18時) (レス) @page4 id: 8f5e3bc927 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2023年10月9日 14時