15 ページ15
・
有無を言わせず、な雰囲気。五条君の威圧感は半端ない。が、決して冷たいものではなかった。
そして、なんだか酷く冷静な私が存在していた。
彼は少し、私に依存しかけている。私も同じく、五条家に居座ったりすれば依存に片足突っ込んだようなものだろう。けれどそれは避けたい。だってそんなのつまんないじゃん。
第一、私は人の役に立ちたい。もしこの術式がサポートに使えるなら仲間を死ぬ気で支えたい。多分この考え方は「価値の無いものはいらない」という世界で生きてきたから身についた。必要とされて、ようやく私は暮らしていける。だから、この件は譲歩しても補助監督。五条君のお世話になる気はさらさらない。
何より、彼がこれからも私を好きでいてくれるかどうかなんて、誰にも分からないのだ。もしかしたら私じゃない誰かを好きになるかもしれない。
そうした時に、私は足枷になりたくないんだ。彼が自由に生きていけるように、私は自立したい。
あー、分かった。自分の価値が失われるのが怖いんだなぁ、私。
「ごめん!無理!やっぱり術師頑張る!」
「…話聞いてた?」
「聞いてた聞いてた。そのうえで断らせてもらうね。
私は役に立つことで、自分の存在価値を証明したいの。
ほら、ずっと自分の身体そのものが資産だったからさ、いざこうして術師やろうとしたらあまりにも何も持ってないことに気づいて。そんでもってまだ自分に可能性があるなら、そっちを試したい」
五条君は呆れた顔で私を見る。「そういや、こんな奴だったな」と思われてそう。
そう、私はこんな奴。どうしようもなく身勝手な人間。でもみんなの事が大好きで、そのためなら死ぬ気で役に立つよ。
とは言っても、私は完全な自由の身では無い。
「でもね、ここまでは私個人の意見」
「?」
「君はたまに忘れかけてるみたいだけど…私は五条悟に買われた商品だよ、君がどう判断を下すかは任せる。私の意思を理解した上でどこかに閉じ込められたって、私は文句1つ言えないから」
これ以上を望むことが、どれだけ欲張りなのかは分かっている。私を買うことは、五条家にとってもそこまで安い買い物じゃなかったはずだ。あの後すぐ、五条君がお家の人と通話しているところを見かけたことがあるし、注意を受けたのだろう。
316人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
作者(プロフ) - みぃさん» コメいただいていたのに気づかなくてすみません💦ありがとうございます!頑張ります! (11月12日 17時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
みぃ(プロフ) - 初コメ失礼します!このシリーズの作品がすごい好きです!これからも更新頑張ってください!応援してます! (11月6日 14時) (レス) id: 01aa01ae14 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 皐月さん» ありがとうございます🥰更新頑張ります! (10月9日 22時) (レス) id: 989ab1f730 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - 続編おめでとうございます!!!これからも応援しています (10月9日 18時) (レス) @page4 id: 8f5e3bc927 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:作者 | 作成日時:2023年10月9日 14時