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「お疲れ様ですう、Aさん」
「…お疲れ様です」
夜中の22時47分。
緊急の任務を終えて補助監督の車へ戻ると、目の下のクマを濃くした補助監督に労わってもらった。
私よりも疲れた顔をしているのが心配になり、体調を思わず聞いてみる。
すると「いやぁ、はは、三徹してようやく寝れたと思ったところで着信音ですよ。本気で死ぬかと思いました。まぁAさんのためなら火の中水の中ですから」と虚ろな目で言われたので怖い。
「優秀すぎるのも考えものですね」
「そりゃAさんは呪術師の中ではトップオブトップで不可欠な存在ですからあ」
「いえ、貴方が」
「えぇ、私が…?……嬉しいです、ありがとうございます」
普通に補助監督を褒めたつもりが、どうやら自画自賛に聞こえたみたいなので即座に訂正した。
会話を終えた後、後ろの座席で私事の携帯を開くと、見知らぬ番号からの通知が3件も来ていた。仕事用のものとは違い、滅多に連絡のこない寂しい携帯だ。
ふむ、と心当たりを探すと、一人しかいない。あの時「危ない時はかけろ」と言ったはずなのだが、1時間刻みでかかってきた痕跡を見る限り、さすがに今日の今日で命の危険に晒された訳じゃなく、普通に何か言いたいことがあったように見える。
「すみません、電話してもいいですか」と車を走らせる補助監督に許可をとり、私は電話をかけ直した。遅い時間ではあるが、つい15分前にどうやらあちらからかかってきていたらしいので。
数コール鳴り、声が聞こえてきた。
「もしもし」
「もしもし、Aです」
「え…あぁ、アンタの名前ね。俺、五条。今日の中華屋で奢ってもらったヤツ…です」
「うん、声で分かったよ。それで、何か緊急事態?」
意地悪そうにそう聞いてみれば、「違うけど…」と慌てた声でそう言われて、思わず笑った。
「まぁいいよ。今日は電話に出れなくてごめんね。要件を聞こうか」
「…あの、さ」
「ん?」
「金、怖いから返させて」
瞬間、電話の奥で「バッ…カ!」とものすごく焦った声と共にバシッと強めの何かを叩く音、それに少し遅れて「いって!?」と五条悟が叫んだ。
何が起きたのかなんとなく察せて面白い。おそらく、バカ正直に話した五条悟に対して、その仲間が五条悟の頭を力強く叩いたのだろう。
「ふ、ふふ、あはは…」
「笑うなよ、結構痛てぇし」
「ご、ごめん…ふふ…」
気味の悪い笑いが止まらなかったのは許してほしい。
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作者(プロフ) - ぽぽさん» ありがとうございます😭こんなにも嬉しいお言葉をいただけるなんて感激です🥲なかなかの不定期更新ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2月26日 0時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 作者さん» 繰り返しコメントすみません🙇♀️この作品から作者様の書かれるお話に興味を持ち他の作品も拝見したのですが、どれも良い意味で読みやすく、言葉遣いもストーリーも好みに刺さりました ; ;素敵な作品を創って下さりありがとうございます💖 (2月24日 23時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 星屑さん» コメントありがとうございます。一風変わった設定を使いたいと思いこの作品を作りました!これからも楽しいと思っていただけるよう頑張ります! (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます。内容は自分が納得ができるまで頑張って書いているので、お褒めいただきとても嬉しいです!これからも応援よろしくお願いいたします☺️ (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 今までにないような作品で読み進めるのが楽しかったです!更新楽しみにしています🥰 (2月21日 5時) (レス) @page15 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年2月18日 0時