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思い出の中の五条悟のことを思い出だけにしたくない自分が、どうやらいたらしい。


「(…まさか本人の前で泣くとは思わなかった。ここまでくると私もしつこいな)」


ココ最近、任務で忙しく帰れていない日々が続いていた。疲労困憊で何とか2週間ぶりに帰宅し、仮眠のつもりでリビングで寝ていたのがまずかった。

最悪な夢を見てしまったせいで寝言まで呟き、おまけに五条悟の手を怪我させてしまう始末。

あの夢の中の五条悟と今世の五条悟は全くの別人だ。というか、前世と今世で彼は違う人間である事実を、私がただ認められていなかっただけではあるけれど。
前世の五条悟は、最強だから五条悟だった。今世では違う。

今の五条くんは、別の人。


「(それはテセウスの船?ちょっと違うか。結局、私が勝手に姿を重ねて、勘違いしてるだけなのかも)」


もう君はいないんだなぁ、と改めて実感させられ、鼻の奥がツンとする。冬の日に亡くなった世界でいちばん美しいひと、かっこいいひと、大好きなひと、最低なひと。きみは親友に連れ去られて、私はそれからずっと辛かった。


「Aさん、着きましたよ」


「ありがとうございます」


最強のいない世界で、今度は私が代役を務める。理由は特にない。他に代わりがいないから、やる。そうでもしないとみんな死んじゃうし。

なにより、もう私に呪術師以外の仕事はできっこない。今更すぎる。


「(もし、私が、呪いと無関係な人間に生まれていたら)」


その時は、まぁ記憶があるのか分からないけど、できることなら諦めた夢をもう一度追いたい。もう遠く昔の、今からでは間に合わない夢。
あのころの私にはなりたいものがあった。それを叶えられなかったのは、五条悟を選んだ自分のせい。

その選択に後悔がなかったかといえば、嘘になる。
きっと、五条悟を選ばない方が幸せだっただろう。

でももし、今の自分の記憶を持って前世という過去に戻ったならば、私はまた五条悟を選ぶ。そんな気がした。

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設定タグ:五条悟 , 呪術廻戦
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作者(プロフ) - ぽぽさん» ありがとうございます😭こんなにも嬉しいお言葉をいただけるなんて感激です🥲なかなかの不定期更新ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2月26日 0時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 作者さん» 繰り返しコメントすみません🙇‍♀️この作品から作者様の書かれるお話に興味を持ち他の作品も拝見したのですが、どれも良い意味で読みやすく、言葉遣いもストーリーも好みに刺さりました ; ;素敵な作品を創って下さりありがとうございます💖 (2月24日 23時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 星屑さん» コメントありがとうございます。一風変わった設定を使いたいと思いこの作品を作りました!これからも楽しいと思っていただけるよう頑張ります! (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます。内容は自分が納得ができるまで頑張って書いているので、お褒めいただきとても嬉しいです!これからも応援よろしくお願いいたします☺️ (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 今までにないような作品で読み進めるのが楽しかったです!更新楽しみにしています🥰 (2月21日 5時) (レス) @page15 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:作者 | 作成日時:2024年2月18日 0時

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