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再度、「なんで、行かないで」と呟かれた。初めて見る子供っぽい一面、いや、子供っぽくはない。強いて言うなら「最強」を自称するコイツらしくない。
そしてなんとなく、自分はこの人のそばにいなくちゃいけない気がして、焦燥感に駆られた。
もう大丈夫だから、居るから、と勝手に出そうな声を我慢すると同時に、手が伸びる。
AAの額にかかる髪に触れようとしたその時、それは突然弾かれた。
バチン、と音がしたと共に、伸ばした手には痛みが走る。
何が起きたか分からなくて困惑していると、目の前の女は勢いよく顔を上げ、信じられないと言いたげに目を見開いた。
「っあ、ご、ごじょう、くん」
「…おう」
「なんでここに…あぁ!手が、ごめ、ごめんね、驚いてつい反射的に、痛くない!?」
滅多に見ない慌てっぷりで、立ち上がり俺の手を掴むAA。恐らくコイツに弾かれたのであろう手を見ると、赤く腫れ上がっていた。
触れられた手に、AAが呪力と呼ばれるような不思議な力を流し込んでくる。するとそれは、痛みを和らげていった。
しかしそんなことは自分にとって二の次で、目の前の光景の方が信じられない。
「お前、なんで泣いて…」
「…え、ほんとだ。やば、気づかなかった」
AAの頬を流れる涙に驚いていれば、それは簡単に手で拭われる。
「えー、はぁ、そっかぁ、まだ泣けるんだ私。ごめん、恥ずかしいところ見せちゃった。あはは、ちょっと夢見が悪くてね」
苦笑いをしてそう言うAA。
「…行かないで、って夢?」
「……うそん、寝言まで呟いてたの、私」
「言ってた、何回も」
「未練タラタラじゃん、やだー」
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作者(プロフ) - ぽぽさん» ありがとうございます😭こんなにも嬉しいお言葉をいただけるなんて感激です🥲なかなかの不定期更新ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2月26日 0時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 作者さん» 繰り返しコメントすみません🙇♀️この作品から作者様の書かれるお話に興味を持ち他の作品も拝見したのですが、どれも良い意味で読みやすく、言葉遣いもストーリーも好みに刺さりました ; ;素敵な作品を創って下さりありがとうございます💖 (2月24日 23時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 星屑さん» コメントありがとうございます。一風変わった設定を使いたいと思いこの作品を作りました!これからも楽しいと思っていただけるよう頑張ります! (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます。内容は自分が納得ができるまで頑張って書いているので、お褒めいただきとても嬉しいです!これからも応援よろしくお願いいたします☺️ (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 今までにないような作品で読み進めるのが楽しかったです!更新楽しみにしています🥰 (2月21日 5時) (レス) @page15 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年2月18日 0時