最強がいなくなった世界

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「私が知りたいのはね、なんでいいとこの息子さんが貧乏な学生やってんのかなぁって話」


ペットボトルのお茶を1口含んだ後、にっこりと笑みを浮かべてみる。五条悟の素性が分かっても、ではなぜ五条悟は生活水準を下げているのか、という疑問の答えには辿り着けていない。私は知りたい、彼がどう生きてきたのか、今どうやって生きているのか、この先どのように生きていきたいのか。


「それ、アンタに話す必要ないだろ」


「そりゃないよ。でも気になるでしょ？君は大事な一人息子なんだから、普通は蝶よ花よと丁重に扱われるべき存在なのにさ」


「…そんなの妄想だろ」


「うーん、でも普通はそう考えるよ。ちなみに私の予想だと、君は何かしらやりたいことがあって親御さんに反抗した。どう？違う？」


私の言葉に、ピクリと肩を揺らす五条悟。どうやら図星だったようだ。


「お前、本当はどこまで調べてる」


「え、いや、普通に予想。ほんとに予想。大体そのぐらいの時期の子なんてそんなもんだよ。というか当たってるんだ」


嫌そうな顔をされると少し傷つく。にしても、五条悟がこんな風に普通の子供をしている姿にまだ慣れない。彼は前世じゃどんな時だって特別な存在だったから。


「君は何をしたいの？私に教えてよ」


「…やだ」


「なんでよ、そんなに恥ずかしいことなの？」


「人によっては笑う…し、アンタみたいなのは特に」


「えぇ…余計気になるな」

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