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1週間前に起きた大事件。突如街に降りかかった厄災に、多くの人間が命を失った。怪我をした者も当然少なくなく、マスメディアはこの事件をテロリストの仕業として放映した。
俺はその街に居合わせた不幸な被害者のひとり。
たまたま…ではないが、ワケあってその街で1ヶ月ほど前から暮らしていたのだ。
そして、俺はあの時の本当の犯人を知っている。人ならざる化け物が、街を破壊しているのをこの目で見たから。
昔から、ファンタジーは信じていなかったし、いたとしてもそんなに怖がる方ではないんじゃないかと思ってた。
けど実際は、結構ビビってた、体感。俺はタンスの下敷きになって身動きを封じられ、なんとか身体を捩っているところ窓の外から爆発音や大きな物が倒れる音が聞こえてきたのだからたまったもんじゃない。
「死ぬのか」と悟った時、何となく諦めがついて、自嘲しながら脱力していたら、急にベランダの窓が割れる音がした。
そこから登場したのは例の黒服女、青椒肉絲オネエサン、何故か親友の名を知っている人、という情報だけがある人物。A、という名であることは分かっていたが、何かと胡散臭い。
だが、その場では救世主のように見えた。普通は、自分よりも小さな女が来たら安心しようにも不安が残る。でもこの人は、分かんないけど、助けてくれる気がしたのだ。
そんなこんなで頼ってみたら、これが想像以上の人だった。
まず、背は190、体重は70〜80の男を平気で姫抱きするとかいうバケモン。しかも俺の足の怪我を魔法か何かで治してくるし。この時点で情報量がキャパを超えた。
そんな女は俺をそのままドーム状の何かに連れてきて、「ここで待っててね」と置いて行く。そして空に浮かんでいた気味の悪い、また違うバケモンに向かった。
まるで漫画の中の世界かと思った。あんなに人間は動けるのか、と感心、そして恐怖。俺の知ってる人間じゃねぇ、と戦慄。
かなり呆気なく空の化け物が倒された後、その更に上から俺達を覆っていた何かが薄れていく様子が見えた。
オネエサンはスーツを着た数人に囲まれ、事情聴取に合っている。俺達一般市民は、そんなスーツの人間に保護された。
そして、保護されている最中に、その女が1度だけ話しかけに来たのだ。「電話して」と、端的に伝えに。
親友にはもう二度と関わるなと言われた人間と通話をするのは気が引けたが、ここまで助けてもらった以上、無下にはできない。
そうして俺は電話をかけ、今日に至る。
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作者(プロフ) - ぽぽさん» ありがとうございます😭こんなにも嬉しいお言葉をいただけるなんて感激です🥲なかなかの不定期更新ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2月26日 0時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 作者さん» 繰り返しコメントすみません🙇♀️この作品から作者様の書かれるお話に興味を持ち他の作品も拝見したのですが、どれも良い意味で読みやすく、言葉遣いもストーリーも好みに刺さりました ; ;素敵な作品を創って下さりありがとうございます💖 (2月24日 23時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 星屑さん» コメントありがとうございます。一風変わった設定を使いたいと思いこの作品を作りました!これからも楽しいと思っていただけるよう頑張ります! (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます。内容は自分が納得ができるまで頑張って書いているので、お褒めいただきとても嬉しいです!これからも応援よろしくお願いいたします☺️ (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 今までにないような作品で読み進めるのが楽しかったです!更新楽しみにしています🥰 (2月21日 5時) (レス) @page15 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年2月18日 0時