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それから私は、1時間ほどずっと、建物の中まで確認するぐらい街を見回った。でもこれで半分ほど。全意識を非術師の呪力を探すのに当てているから多分見逃している箇所はないと思うが、私には六眼なんて便利なものはついていない。だから目視でもくまなく探している。
「これで記念すべき100人目…っと」
大人数を1箇所にまとめるのは時間が惜しいので、非術師を見つけ次第私の残穢をその場に残して、呪霊に狙われないようにしていた。並大抵の呪霊になら襲われないはず。
にしても、久々の重労働。これだけ歩き回るのは今世でもなかなかない。恐らく敵の狙いは、こうやって私を疲弊させ呪力切れもさせ、弱ったところを叩くことだろう。だとしたら、随分となめられたものだが。
101人目、呪霊、呪霊、猫、102人目。それを続けることまた1時間。
そう、たまに動物もいる。さっきは犬が寝ていた。式神はどうやら、生き物全てを眠らせたようだ。
…なぜ犬や猫まで眠らせた?これだけの人数を眠らせるのにはかなりの呪力を要したはずなのに、わざわざ動物まで。見境なく眠らせるタイプの式神なのか?
いや、もしくは、本当に
「(…犬や猫の鳴らす音で起きてしまうのかな。強制的に眠らせることは出来るが、その質は普通の睡眠と対して変わらない。そのため大きな物音があると、人が起きてしまうから、とか)」
それなら、この式神による広範囲の被害も納得出来る。ただ眠らせるだけ。起こそうとすれば起きる。
いいや、だとしたら犬猫はどうするんだ。私が来ても目を覚まさなかった。その仮説は間違っている。
けれどそれすらもブラフの可能性だって…
その時、拡声器の雑音が入った音声が、私のいる位置の反対側から大きく響いた。
そしてその声は式神の名前であろう単語と、「解除しろ」と命令を、確かに口にした。
瞬間、私の近くで眠っていた非術師が寝ぼけた声をあげる。
「(…なんで、このタイミングで)」
嫌な予感がして、拡声器からの声が聞こえた場所の方角を見据える。その上空で、黒く禍々しい呪力の塊が揺れ動いた。
あれは呪霊じゃない、式神だ。そして、非術師にかかっていた術式の呪力と同質のもの。
分裂できる式神をまとめた、ということだろうか。
式神が動き始める。
あ、やばい。そう思った時には既に遅かった。
大きくなった式神が次の拡声器の音声の命令によって、大規模な攻撃を始めたからである。
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作者(プロフ) - ぽぽさん» ありがとうございます😭こんなにも嬉しいお言葉をいただけるなんて感激です🥲なかなかの不定期更新ではありますが、これからもどうぞよろしくお願いいたします☺️ (2月26日 0時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
ぽぽ(プロフ) - 作者さん» 繰り返しコメントすみません🙇♀️この作品から作者様の書かれるお話に興味を持ち他の作品も拝見したのですが、どれも良い意味で読みやすく、言葉遣いもストーリーも好みに刺さりました ; ;素敵な作品を創って下さりありがとうございます💖 (2月24日 23時) (レス) id: cce9129f81 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - 星屑さん» コメントありがとうございます。一風変わった設定を使いたいと思いこの作品を作りました!これからも楽しいと思っていただけるよう頑張ります! (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
作者(プロフ) - ぽぽさん» コメントありがとうございます。内容は自分が納得ができるまで頑張って書いているので、お褒めいただきとても嬉しいです!これからも応援よろしくお願いいたします☺️ (2月22日 14時) (レス) id: 371b148e61 (このIDを非表示/違反報告)
星屑(プロフ) - 今までにないような作品で読み進めるのが楽しかったです!更新楽しみにしています🥰 (2月21日 5時) (レス) @page15 id: e29b44e719 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:作者 | 作成日時:2024年2月18日 0時